第200回 整形外科シリーズ

腰痛を治す(その1):背骨の構造と働き

 

腰痛は、二本足で立つようになった人類の宿命ともいわれ、腰の痛みを経験した人は大勢見受けられます。人間が真っ直ぐ立った姿を横から見ると、背骨は顎から腰までS字状に曲がっています。これは動作をスムーズにし、体のバランスを保つためなのです。このために腰は、地面に対して傾斜を持った骨盤の上にあって、相当な負担が常時かかっているのです。背骨は、一本の柱のような骨ではなく、七個の頚椎、十二個の胸椎、五個の腰椎からなっています。それぞれの椎骨は前方は椎間板、後方は関節により連結され動くようになっています。この関節があるから腰を曲げたり、後方にそらすことができるのです。「椎間板」は弾力性のある軟骨の板で、これが体重を支え、衝撃を吸収するクッションの役目を果していますが、この椎間板は老化現象がもっとも早く現れるところでもあるため、しばしば腰痛の原因となります。背骨には縦に連なる穴があって、その中を神経が通り、脳から手足の筋肉に運動の指示をし、手足から脳へ知覚を伝えます。硬くて、動きのある骨の中を微細な神経が走ることで、いろいろなトラブルが生じるのです。