第201回 整形外科シリーズ

腰痛を治す(その2):背骨の構造と働き

 

腰痛をきたす疾患は、腰の骨や筋肉など身体を支える組織や脊髄に異常が生じて起こる整形外科的なもののほかに、内臓・婦人科・泌尿器科・神経科的なものまでさまざまです。整形外科医は、他科の疾患はもとより、整形外科的疾患を一つずつ除外診断し確定するのです。まず、患者さんに腰の痛みの具合を詳しく聞きます。お辞儀をする動作で痛くなったり、咳や、くしゃみで響くような痛みを生じる場合は、椎間板からの痛みが考えられます。通常、腰痛は、動作に伴って起こることが多いのですが、動作の時には痛くなく、長く歩くことによってのみ、重く鈍いような腰・下肢の痛みを生じる病気もあります。立ち止まって、休みながら歩くことから、間欠歩行と呼んでいますが、この病気については後日詳しく説明しましょう。また、動作時以外にも、じっと安静にしていても痛んだり、夜中に目が覚めるような腰痛は、癌の転移も考えられます。このように、腰痛の原因はきめ細やかな問診、診察でかなり絞り込めますが、X線診断、CT、MRI、骨シンチなど補助診断も必要に応じて使います。