第202回 整形外科シリーズ

腰痛を治す(その3):ぎっくり腰について

 

ちょっとした動作で急激な腰痛・下肢痛がくること、があります。いわゆる『ぎっくり腰』です。世間ではよく誤解されていますが、これは病気の名前ではありません。あくまでも急激に起こった腰痛・下肢痛などの症状のことです。ですから、急激な腹痛や頭痛と同じで、その原因はたくさんあります。例えば、あなたが腹痛で痛みが激しいとき、医師に診てもらい「あなたの病名は腹痛です」と説明されたら満足しますか。きっと、あなたは「腹痛の原因は?」と尋ねるでしょう。ぎっくり腰も同様です。必ず原因を尋ねましょう。その治療法は、原因により全く違うことが多いからです。では、その症状や原因について、二、三の例を上げてみましょう。強い腰痛とともに、背中がくの字に曲がった状態になることがあります。それは、不注意に腰を前屈させ荷物を持ち上げようと腰を伸ばし過ぎたり、腰をひねったりしたときに起きることが多いのです。また、朝、顔を洗う際、前屈姿勢になっただけでも起こることもあります。 その考えられる原因は、「腰部椎間関節症」「椎間板ヘルニア」です。なお、激しい腰痛を主症状とするものには、高齢の女性に多い「骨粗鬆症によ骨折」や「内蔵がんの脊椎転移」が原因のことも珍しくありません。いずれにしても、ぎっくり腰を侮ってはいけません。