第204回 整形外科シリーズ

腰痛を治す(その5):治療について

 

腰痛は、痛みの感じ方や回数、生活、職種などにより各個人で異なっています。例えば強い肉体労働をしている人と、机にむかって座っての仕事が主な人では治療目標が異なっています。また、スポーツをしている若い男性と七十歳の女性を比べても、治療のゴールは当然異なっています。治療の基本は、急性期には(1)安静(2)日常生活の注意、あとは医療機関で行う薬物療法、温熱療法、理学療法、コルセット、病気によっては手術もすることがあります。また、慢性期には運動療法が効果的です。治療としての運動の目的は「固定された腰椎を健康なときのように動くようにする」「固まった筋肉をほぐし、筋肉を鍛えて丈夫にする」ことであり、筋肉のストレッチングと腹筋・背筋のトレーニングが重要です。医師は自然に治るタイプの腰痛か積極的に治療を要するものか見極めます。ただ、当初は原因が見当らなくても、経過とともに所見がはっきりとしてくることが多くあり、重要な病気を見落とさないよう、経過をみていくことが大切です。