第205回 整形外科シリーズ

腰の痛み:椎間板ヘルニア(1)

 

背骨の構造と働きのところでもお話ししましたように、椎間板は背骨の間にあって体重を支えるクッションの役目をしています。実は十代前半より、すでに椎間板の変性(老化現象)が始まっています。この椎間板の中にある髄核(軟骨とよく言われるもの)が飛び出して神経を圧迫する状態をヘルニアと呼びます。腰から出ている神経は、お尻や足にむかう座骨神経痛をおこしてきます。つまり、ヘルニアの症状は腰痛だけでなく、お尻や足の痛みも伴うのです。「咳やくしゃみをすると足に電気が走る」「前かがみになると足の方まで痛くなる」このような訴えがあればヘルニアの可能性が高くなります。しかし、症状が痛みだけで治まっている間はよいのですが、神経の障害が進み、まひ症状が起きてくると大変です。足の筋肉がやせたり、皮膚の感覚がわかりにくい等の症状が出てきたら詳しく調べてみる必要があります。ヘルニアと診断されても手術を必要とする場合は、全体の五%前後ですから、症状が進まないうちに早めに医師によく診察してもらいましよう。