第206回 整形外科シリーズ

腰の痛み:椎間板ヘルニア(2)

 

ヘルニアは、外来で診断すれば、おおよその発生部位は推定できます。普通のレントゲン写真にヘルニアは写りませんが、MRIやCT、椎間板造影、脊髄造影等でヘルニアの存在が証明できます。このうちMRIは電磁波を用いた最も新しい検査で、痛みもなく、外来で簡単にかつ安全にできる優れた検査です。また、椎間板造影や脊髄造影は、入院して行い、針を刺すので痛みを伴いますが、正確さからいえば最も信頼できる検査といえます。治療は、まず第一に、安静と消炎鎮痛剤の投与を行い、安静にできない人は、コルセットを着用し、腰を保護します。また、痛みが強ければ、麻酔注射を行うこともあります。多くの場合二-三週間で痛みが利らぎますが、症状が長く続いたり、再発を何回か繰り返し、仕事や日常生活が制限されるようであれば、手術も考えないといけません。手術は決して恐ろしいものではなく、普通のヘルニアであれば、一時間前後で済み、術後も約一カ月で普通の生活は十分できます。手術を恐れ、長い間制限された生活をするほうが、さまざまなマイナス効果を及ぼし、大変だと思います。