第207回 整形外科シリーズ

腰の痛み:脊椎分離症(1)

 

腰椎の椎弓がその一番狭いところで骨折(分離)したものを腰椎分離症といいます。この分離の状態はレントゲン検査で診断でき、第五腰椎に多く見られます。学童生徒のスポーツ選手で、運動をしたり、長く腰を掛けていると腰が痛むなどの訴えがあり、前かがみは楽でも、そり返ると痛む場合は、この病気を疑います。分離症の原因としては、遺伝、すなわち、生まれつき骨の出来方の異常のほかに、学童期から思春期の未成熟の骨に、スポーツなどによって繰り返しかかる負荷によって疲労骨折を起こすせいではないかという説が有力です。近年、スポーツ少年団の活動が盛んですが、これらの少年を対象にした統計調査で、分離症の頻度が小学校高学年から高校生にかけて次第に増加するということが分かりました。これらの事実は、成長期の過度の繰り返しの負荷が分離の原因として重要であることを物語っています。更に分離した脊椎が前方にずれた状況を「分離すべり症」といい、すべりの程度がひどいと足の痛みやしびれを起こすこともあるので注意しましょう。