第208回 整形外科シリーズ

腰の痛み:脊椎分離症(2)

 

学童期から思春期にかけてのスポーツのし過ぎで発生した分離症のために起こる腰痛は、分離による支持性の低下が原因と考えられます。したがって、治療はスポーツを一時的に制限したり、コルセットなどで腰を支えて保護することが大事です。今までは、一度発生した分離症は、手術しなくては治らないと考えられていました。しかし、発生初期の段階であれば、かなり時間がかかるものの、スポーツの中止やコルセットの着用により、分離した部分が再癒合することがわかってきました。また、発育期の子どもを調査した結果から、一週間当たり十四時間の練習量を超えると、分離症を含めたスポーツ傷害が多発する傾向があると判明しました。分離の発生を予防するには、スポーツ活動は一日二時間以内にとどめ、週二-三回の休養日をおくのが望ましいとされています。一方、成人の分離症の場合でも治療方法は同じで、腰の安静とコルセットの利用が有効です。ただし、分離状態にある人とそうでない人との間に腰痛の頻度の差はない、という報告もあります。レントゲンで分離があっても症状がまったく表れなかったり、症状があっても分離症が原因ではない場合もしばしば見受けられます。腰痛が起きても、分離以外の原因がほかにないかどうかをよく調べることが大切です。