第212回 整形外科シリーズ

腰の痛み:腰痛と痛み止め

 

腰痛など、痛みの治療によく使われるのは「消炎鎮痛剤」です。一般には「痛み止め」といわれるので、よく誤解されます。かなり強い痛みのある患者さんに処方しても、飲んでいない人が結構いるようです。よく次のような会話を耳にします。「先生、全然良くなりません」といわれる患者さんに「薬が効きませんでしたか?では別の薬に変えてみましょう」と答えると「実は、痛み止めば一回も飲んでいません。どうせ一時のごまかしなら使いたくありません」という内容です。さて、このようなことを防ぐためにも、処方するとき、医師や薬剤師がもっと分かりやすく説明する必要があるでしょう。「痛み止め」という説明は、不適切な表現かもしれません。現に「消炎鎮痛剤」は、痛みの原因である炎症を抑える作用により、病気そのものを治りやすくする働きもあるのです。また、上手な使い方によって痛みの悪循環を断ち切ることとなり、数日間使用しただけで治ったりする場合もあります。とはいえ、すべての痛みを根本的に治すわけではありません。急性期の痛みが治まった後や慢性の痛みに対し、長期間とりとめもなく、ただぼんやりと飲み続けるのは好ましくないことです。場合によっては、胃や腎臓などの負担になることもあります。主治医と相談し、必要に応じて使用すると良いでしょう。