第214回 整形外科シリーズ

腰の痛み:注意すべき腰痛

 

腰痛の大半は良性です。しかし、ときには内臓に発生した癌が腰椎に転移したために、腰痛を生じている場台があります。転移先の腰で痛みが初発症状として表れ、原発の癌は無症状のときがあるといった厄介な疾患です。また、良性の疾患でも、手術しないと痛みが全く取れなかったり、放っておくと下肢のまひが生じるなどの重大な結果を招くものがあります。腰痛の原因のうち、このような注意を要する病気は、(1)脊椎カリエス・化膿性脊椎炎(2)脊髄腫瘍(3)多発性骨髄腫・転移性脊椎腫瘍などです。一般に、腰痛は安静にして、腰に負担を掛けないようにしていると楽になります。しかし、安静にしても楽にならない、痛くて寝ていられない、痛みがだんだんと強くなる、痛みの程度が尋常でない、腰痛が頑固に続く、下肢の筋力が落ちて、起立・歩行が困難になる、下肢の感覚が鈍くなる.排便・排尿が不自由になるなどの症状が見られる場合は、重大な病気の可能性もあります。このような病気は、幸いにも、あまり多くはありません。しかし、診断がなかなかつかず、数回の診察では分からないこともあります。尋常でない腰痛が続く場合は、何度でも医師によく相談してください。早期発見・早期治療が大切です。