第215回 「こころ」の疾患シリーズ

心と脳

 

脳のはたらきは、神経と心(精神)に分けられます。神経は、運動神経と感覚神経(いわゆる五感:見る・聴く・におう・味わう・皮膚感覚)および自律神経(心臓、胃腸などを自動的に動かす)を担っています。心は知・情・意に分けられ、知は思考・理解・判断・記憶などです。情は喜怒哀楽の感情を、意は意志と意欲のことです。心は目に見えません。科学がどんなに進歩しても、心を画像化することは不可能でしょう。しかし、人の心は表情・動作・言葉そして体調など目に見える形となって、ちょうど目に見えない風が湖面をいろいろと変化させるように、はっきり表れます。心の病気と聞いて、狂った人や精神病を悪くイメージするとしたら、たいへん悲しいことです。脳死によって生命の終わりとする説があるように、脳は人の命の最高中枢です。だから心の病気は複雑です。心の病気にかかって、ある人は自分が悩み、ある人は周囲(社会)を悩ませるでしょう。心が病んだら、身体の病気と同じように気軽に医師に相談して下さい。このシリーズでは、日常よく見られるパニック障害・恐怖症'強迫性障害・気分障害(そううつ病)・不眠症・摂食障害・不登校・慢性疲労症候群・痴ほうなどについて、お話しする予定です。