第218回 「こころ」の疾患シリーズ

気分障害:うつ病

 

♪〜人生、楽ありゃ苦もあるさ〜の歌のように、生きていればつらいことも楽しいこともあり、気分が沈んだり浮いたりするのは日常のことです。この気分の変化が長く続いて悩み込んだり、周りに迷惑をかけるなど生活に支障を来す程度になった場合を「気分障害」と呼びます。沈み込むのは「うつ病」、浮き上がるのは「そう病」、両方が交互に現れるのは「躁うつ病」です。今回はうつ病についてお話しします。うつ病は精神科の領域で最もよく見られ、自殺の頻度も高いため重要な疾患ですが、正しく治療すれば治ります。うつ病の人の脳の働きは、ブレーキがかかったようにもどかしくなります。気分は暗く、重苦しく、おっくう、不安、情けない、悲しい、怒りっぽい、いつも疲れてだるいといった症状です。行動は、興味や関心がうせ、何もやりたくない。感情は、何をしても楽しくなくつまらない。考え方は、万事が悪くなるように悲観し、なにもかも無意味に感じ、自分を無価値な人間と責めます。もし、あなたにこういった状態が十日以上続くようであれば「うつ病」が疑われます。早めに医師に相談しましょう。脳の神経伝達物質の失調のため、こういつた症状が出ることが分っており、抗うつ剤はこれを改善するのに効果的です。