第219回 「こころ」の疾患シリーズ

気分障害:そう病

 

そう状態は、高揚した気分と心身の活動性の増大を特徴とします。日ごろ、私たちが言う〃ハイな気分〃と似ていて、ひとことで言えば、多弁・多動となります。具体的には.まず、心身がすごく好調だと自覚します。『多弁(→いつもだれかと話していないと気が済まない)』『誇大(→自分は大才、大金持ちになる)』『楽観(→何事にも成功する)』『短眠(→夜中の二〜三時に起きだし行動開始)』『性的活力の増加』『やたら人と会いたがる』『だれとでもなれなれしくする』など、普段の人柄とは一変した行動をとるため、周囲の人を驚かせます。また、自尊心が高まり、ささいなことで激怒したり、トラブルメーカーになることがあります。このような状態が続いて、日常生活や社会生活に支障を来す場合をそう病と呼びます。日常の診察の場面でよく見られるのは『浪費(→次から次に物を買いこむ)』『電話をかけ散らす』『現実不可能な途方もない計画に熱中する』などです。好発年齢は、十五から二十歳です。うつ病は、自分が悩みますが、そう病の場合は周囲が悩まされます。本人は至って気分がそう快で、自信に満ちあふれ、充実感を味わっています。そのため、自分が病気だと思わないので治療に困難を来すこともあります。