第221回 「こころ」の疾患シリーズ

摂食障害

 

 「食べ物と体重のことしか頭にありません」「太っていると何もかも面倒で、生きている実感がないんです」これは摂食障害の患者さんの言葉です。この病気は単なるダイエットとは違って、患者さんの心の葛藤や苦しみの裏返しとして起こります。原因には、痩身願望、完壁主義、頑張り屋、能力的に優れ周囲から期待されるタイプ、我慢強さが低く葛藤や苦しいことがあると体型・体重への関心に置き換えてしまう、などの性格が考えられます。十〜二十歳代の若い女性に集中し、以下の症状で診断します。

(1)肥満への強い恐怖があり、自分の体重の許容範囲を低く設定し維持する。A太ることを避けるために少食になり、食後に自分で嘔吐する。緩下剤や利尿剤を常用する。過度な運動をする。

(2)栄養不足のため、むくみ・だるさ・低血糖・ホルモン障害による無月経や性欲の低下などの身体症状がある。

この病気は極端に少食となり、食べなくても平気でいられる拒食症と、異常に食欲が増す過食症と二つのタイプがあり、患者さんの六〜七割は拒食と過食とを繰り返します。治療にはある程度の期間がかかりますが、必ず治ります。周囲の人は焦らず、根気よく患者さんを援助してください。