第222回 「こころ」の疾患シリーズ

統合失調症

 

 つい最近まで、統合失調症は原因不明といわれ、長い間偏見が付きまとっていました。しかし近ごろでは、統合失調症は脳の働きに異常がある病気として理解され、解明されつつあります。脳の働きの異常とは、脳波検査で見られる刺激への反応の鈍さ、CT検査で判明する脳の委縮、脳血流検査で診断される活動領域の異常などで示されます。統合失調症の人は脳の働きに問題があるため、次のような性格の特徴が表れます(病前性格)。『注意力・集中力が広く行き届かず長く続かない』『考えや感情がクルクル変わって定まらず、迷いやすい』『自分から進んで積極的にやろうとしない』『唐突な考えをよく出す』という具合です。このような人は、思春期になるとさまざまなストレスが引き金になり発病します。人口百人当たり○・八人の発病率です。典型的に見られる症状は『現実離れした思い(妄想)にとらわれる』『他人が自分のうわさをしている』『殺されるなどの不愉快な声が頭に入る(幻聴)』『目的や興味や関心が失せ、社会から引きこもり自分だけのことに没頭する』『感情の浮き沈みが激しく、訳もなく急に興奮する』などです。ただし、現在では薬物療法や生活技術の習得の訓練、家族と周囲の適切なサポートなどの治療によって、自立した社会生活を送ることも夢ではありません。