第223回 「こころ」の疾患シリーズ

痴呆症の介護

 

平成12年4月から、介護保険のサービスが始まりました。対象は、身体や心に障害があって日常生活に支障を来す人です。この場合、心の障害のほとんどを占めるのは、痴呆症です。痴呆症の症状は、(1)日常生活の動作ができなくなる(2)問題行動が表れる、の二つに分けられます。(1)は、外界に対する意識が混乱し、夜間にうろついたり、妄想などの意識障害や不潔行為、失禁、幻覚、興奮などの症状を起こすため、介護者に多大な苦労が及びます。痴呆症患者の介護に際しては、次の要点が挙げられます。

(1)患者を理解しましょう。

 痴呆症は病気です。本人の意識の下では、感情やプライドは保たれています。本人は残存する機能を使って、真剣に最善の行動をしているのです。しかし、病気の自覚がないので自分で修正できません。

(2)失敗しても、決してしかったりとがめたりしないように気を付けましょう。

 強く注意すると、患者は自分自身を否定されたと感じて反発したり、委縮してうつ病になったりします。

(3)患者とペースを合わせましよう。

 行動、会話はゆっくりと簡潔に行いましょう。

(4)介護者は安定した気持ちで接し、患者がリラックスできる生活環境をつくりましよう。

 こうして患者の人格を尊重し、絶えず良好な人間関係を保つことが大切です。