第247回 脳外科シリーズ

脳梗塞(1)

 

近年、脳卒中の死亡率は減少していますが、一方で有病率は増加しており、麻痺などの後遺障害で悩んでいる患者さんが多くいます。また、脳卒中は「ブレインアタック」と呼び超急性期の治療の重要性が認識されてきています。すなわち、できるだけ早く的確な診断を下し、病態に合った治療を行い、早期離床・早期リハビリテーションを進め、慢性期の再発予防を行うことが重要となります。ところで脳卒中には脳梗塞、クモ膜下出血、脳出血があります。脳梗塞(のうこうそく)は増加し、クモ膜下出血は増減なく、脳出血は減少しています。脳梗塞(のうこうそく)とは脳の血管が詰まってその血管の養っている部分が死んでしまう病気です。脳梗塞には大きな血の塊が脳血管に詰まる脳塞栓症と、脳血管が動脈硬化で狭くなりそこに血栓ができたり、末梢の血液の流れが悪くなる脳血栓症の2つのタイプがあります。

脳塞栓症(のうそくせんしょう)の原因は、心房細動などの不整脈が多く、脳血栓症は高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙などが原因といわれています。症状は、片側上下肢の麻痺、感覚障害、言語障害、視野障害(見える範囲が狭まる)、片目の視力障害(片側が急に見えなくなる)などがあります。脳塞栓症(のうそくせんしょう)は急に発症することが多く、脳血栓症は徐々にあるいは朝起きたら症状が出ていたということが多いようです。