第250回 脳外科シリーズ

クモ膜下出血(1)

 

クモ膜下出血とは、脳の回りの水(脳脊髄液)がたまっている場所に出血する病気です。原因としては、その多くが脳動脈瘤(脳の動脈の一部が風船のように膨らんだもの)の破裂によるものです。症状としては、突然激しい頭痛が生じ、吐き気や嘔吐を伴う場合や、意識障害や心肺停止で発症する場合などいろいろあります。診断は頭部の断層撮影(CT)や腰椎穿刺(背骨の間から針を刺し、脳脊髄液を調べます)で行います。クモ膜下出血は恐ろしい病気で、一度破裂した場所には、かさぶたがついて、いったんは血が止まるのですが、これがはがれると出血を繰り返し(再破裂)、そのたびに死亡率が上がります。全体で見ると3分1の人が死亡、3分1の人が麻痺などの後遺症が残り、3分1の人が発症前の状態に戻ります。クモ膜下出血と診断されたら、主として脳血管撮影術で動脈瘤の部位などを詳しく調べて、治療方針を検討します。