第251回 脳外科シリーズ

クモ膜下出血(2)

 

 再破裂を防ぐための治療としては、開頭術・血管内治療があります。重い基礎疾患が無く手術が可能な部位の動脈瘤であれば現時点では開頭術の方が安全・確実と考えられています。手術用顕微鏡を用いて動脈瘤に接近し、瘤内部に血液が行かないようにその根元を金属製のクリップで遮断します。簡単な手術ではありませんが近年手術成績は良くなっています。手術が困難な脳の深い場所にできた動脈瘤では血管内から瘤内部に金属製のコイルを詰めていく方法(血管内治療)が選択されることもあります。もう一つこの病気の問題点は出血の影響で脳血管が強く縮んで(血管れん縮)脳に血液が行かなくなり脳梗塞を生じることがある事です。血管れん縮の原因には多くの要因があり、治療にも決め手を欠くのが現状です。発症後2週間までに発生することが多く、予後を大きく左右します。再破裂と脳血管れん縮という二つの大きな山を乗り越えれば後遺症無く退院、社会復帰への道が開けてきます。