第252回 脳外科シリーズ

脳出血

 

脳出血は日本人に多く、脳卒中の約30%を占め、死亡退院が21%を占める重篤な病気です。原因は高血圧が最も多く、そのほかには脳血管奇形やモヤモヤ病などがあります。出血しやすいところは決まっています。脳の中で「被殻」や「視床」そして「橋」というところは高血圧によって出血しやすい場所です。被殻出血は主として運動麻痺、視床出血は感覚障害と意識障害、橋出血は意識障害で発症します。最近、皮質下出血の原因として注目されているのはアミロイドと言われる蛋白が血管に沈着して出血するもので、高齢者に多いこと、痴呆症状が出血前に見られることが多いのが特徴です。治療は外科的治療(手術)と保存的治療(点滴治療や血圧管理)に大別されます。出血量と症状により治療を決めます。早期リハビリの開始、肺炎などの合併症防止の観点からは、外科的治療を選択した方が、離床が早い場合があります。外科的治療にもいわゆる開頭術と頭蓋骨に小さな孔を開けてそこから血腫を吸引する方法があります。脳出血患者の退院時の状態は不自由なく自立10%、不自由だが自立31%、部分介助24%、寝たきり14%、死亡退院21%という数字が発表されています。