第253回 脳外科シリーズ

未破裂脳動脈瘤について

 

近年、検査、特にMRAの発達によって脳動脈瘤が破裂前に発見される機会が増えてきています。脳ドックの目的の一つがこの未破裂脳動脈瘤の発見にあります。脳動脈瘤が破裂してクモ膜下出血を生じると死亡率が約3分の1、麻痺などの後遺症が残る率が約3分の1と重篤ですので、一般的には70歳以下で手術可能な場所にある大きさ5mm以上の動脈瘤は手術をした方が良いと考えられています(脳ドックのあり方委員会)。それでは脳ドックで発見された大きさ5?未満の動脈瘤をどうしたらいいかというのはなかなか難しい問題です。動脈瘤の大きさと破裂に関しては大きいほど破裂しやすいという報告と、小さいものでも破裂するという報告の両方があるからです。手術成績については手術死亡率が約1%、後遺症率が約4〜6%と言われています。また、動脈瘤の場所や大きさ、虚血性脳血管障害(脳梗塞)の合併の有無などで手術合併症率は変わってくるので治療に際しては納得がいくまで担当医から説明を受けることをお勧めします。また、手術以外の方法としては血管内から動脈瘤内部にコイルを詰める方法もあります.もちろん治療はせずに経過を見るというのも大きな選択枝の一つになります。十分な説明を聞いた上で患者さんが自らの意志で治療法を決断することが望ましいと思います。