第253回 脳外科シリーズ

脳腫瘍2(悪性の脳腫瘍

 

悪性脳腫瘍は、成人では神経膠腫、悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍が、小児では髄芽腫が代表的です。神経膠腫は全脳腫瘍の四分の1を占め、炎のストッパーと言われて活躍した広島カープの津田投手がこの病気で若い命を絶たれた事は皆さんの記憶に残っているかもしれません。症状は頭痛に始まりけいれん、運動麻痺、性格変化などが加わります。手術でできるだけ摘出した後、化学療法と放射線療法を併用する治療が一般的です。悪性リンパ腫は放射線治療で腫瘍が縮小するものの、再発や脊髄転移が死因となります。また、化学療法との併用や副腎皮質ホルモンの投与が有効なこともあります。転移性脳腫瘍については原発巣の状態、他臓器の転移巣の有無によっても治療選択はかわってきますが、大きさが2cm以下であればラジオサージャリー(高線量の放射線を悪いところだけに当てる方法)の良い適応です。大きさが3cmを超えたり嚢胞性(中に液体が溜まっている状態)のものでは手術を選択します。最後に髄芽腫は5〜9歳での発生が多く、ほとんどが小脳の真ん中にでき、頭痛や歩行障害で発症します。手術後に全脳、全脊髄に放射線照射し、さらに化学療法を追加する方法が一般的です。