第258回 糖尿病シリーズ(2)

 

 

糖尿病治療の真の目的は合併症の予防にある!(その1)

糖尿病では死なない!それはほぼ真実です。問題は合併症にあります。糖尿病の、特に神経、眼、腎臓、心臓や脳の合併症は、日常生活を大変不自由にするだけでなく、死をも招きます。糖尿病の治療は、血糖を下げることだけでなく、他の生活習慣病と複合して発生する合併症を発病させない、進行させないことに真の目的があることをご理解下さい。糖尿病が発病して3年で神経の障害、5年で眼の障害、10年で腎臓の障害、そして動脈硬化は予備軍のころから始まります。神経の障害で最も多いのが「足のしびれ」です。その他、立ちくらみ、尿意を感じない、インポテンツなどがあります。また、火傷やわずかの傷がもとで足に壊疽(えそ)を生じ、下肢の切断を余儀なくされることもあります。眼の障害の代表は網膜の出血です。ある時期から急速に進行する場合があり、適切な時期にレーザー治療をしないと失明します。失明者は毎年3千人以上にのぼります。眼底検査は、病状や治療効果の判定に血糖と同程度に大切です。腎臓障害は、くすりや食事の蛋白質制限、血圧の厳重な管理によって進行を予防します。尿に蛋白が出始め、一部の人は次第に腎不全に進行し、最後には透析となります。糖尿病から透析になる人は毎年1万人を超えます。