第259回 糖尿病シリーズ(3)

 

 

糖尿病治療の真の目的は合併症の予防にある!(その二)

糖尿病の経過をみていますと、40〜50%に高血圧が、30%に高脂血症が合併してきます。特に、高血圧が合併すると腎臓障害が確実に悪化します。また、全身の動脈硬化がゆっくりと進行したあげく、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、下肢の動脈の閉塞等を突然発病します。高血圧のない人に比べ死亡率も2〜3倍に増加しますので高血圧の合併は大変重大な問題となります。糖尿病に合併した高血圧には、立ち上がる時に急に血圧が下がることがある(起立性低血圧)、ちょっとした緊張で血圧があがる(白衣高血圧)、早朝の高血圧が多く心筋梗塞や脳卒中を生じやすい等の問題があり、注意深い血圧治療が必要となります。また、致命的な心筋梗塞や脳梗塞などを避けるには、血圧には血糖に対するよりも2倍の注意を払うべきであるとされ、厳しい糖尿病のコントロールに加えて、より一層厳しい血圧のコントロールが求められています。年齢にもよりますが、血圧は130/85未満まで下げる、腎症が進行しておれば血圧はできるだけ低くするほうがよいとされています。従って、糖尿病の場合は、家庭での血圧測定をお奨めします。主治医の指導のもとに正しい血圧測定を行い、ご自分の目標血圧を決めてもらって、適切な降圧治療を受けてください。