第260回 糖尿病シリーズ(4)

 

 

糖尿病がよくコントロールされている状況とはどのように治療すれば、糖尿病が悪化せず、合併症が発病しない状態になるのでしょうか。血糖については表のような基準が推奨されています。血糖降下薬を使用していない場合は評価の「優」を、血糖降下薬やインスリンを使用している場合は「良」あるいは「可」を目標にします。目標値を主治医に示して貰い、できるだけ厳しい基準を目指してください。空腹時血糖は糖尿病の状態を反映します。食後2時間血糖は動脈硬化と関連し、高血糖が続くと脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなります。また、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、過去1ヶ月間の上下する血糖の平均を示しますので、最も参考にしやすい指標です。合併症の予防には、血圧やコレステロール、体重の管理も大切です。高血圧がある場合は、血圧を130/85未満にコントロールします。高脂血症がある場合は、総コレステロールを200以下に、悪玉コレステロールを120未満にします。また、肥満がある場合は、20歳頃の体重に近づける努力が必要です。糖尿病は自覚症状が殆どありませんので定期的な受診と検査が不可欠です。毎日の生活の中で食事・運動そしてくすりの三者が上手くバランスがとれて初めてよいコントロールが得られます。そして、努力すれば必ず報われるのも糖尿病治療の素晴らしいところです。


表 血糖コントロールの基準と評価

不可

HbA1c

5.8未満

5.8〜6.5

6.6〜7.9

8.0以上

空腹時血糖

100未満

100〜119

120〜139

140以上

食後2時間血糖

120未満

120〜169

170〜199

200以上