第261回 糖尿病シリーズ(5)

 

 

食事療法なくして糖尿病の治療なし!

「食事療法をしないこと」は、「糖尿病の治療を放棄したこと」と同義語です。確かに食事療法は、「言うは易く行うは難し」で大変難しく、ましてやこのグルメの世界、つらいところが多々ありますが、食事療法なくして糖尿病の治療はありません。さらに、食事療法は一度聞いただけで実行できるものではありませんし、漠然と「腹八分目でよい」では大ざっぱ過ぎます。栄養士による指導を、少なくとも3回以上受けて、自分の摂取カロリーについて習熟すべきです。まず「食品交換表」の使い方を学び、次に具体的な献立によって食品の組み合わせと摂取量を学びます。最後にカロリー計算がおよそできて、外食のときでも役立つようでなければ本当の意味の理解とはいえません。保健センターで指導を受けたり、かかりつけ医に相談したりしてください。摂取量は、体格や仕事、生活内容などによって異なりますが、およそ1、400〜1、900キロカロリーです(下表参照)。 基本はカロリー制限と栄養バランスですが、合併症として腎臓障害があると塩分や蛋白質の制限、高血圧があれば塩分制限、高脂血症では動物性脂肪の制限、高尿酸血症があればプリン体の多い食品を避ける必要があり、食事療法が複雑になってきます。

糖尿病の食事摂取量の目安

(糖尿病のない人の8割=腹八分目)

中等度労働〜体格大

1,900kcal

軽 労 働

1,700kcal〜1,600kcal

労働なし

1,400kcal

※食品交換表(日本糖尿病協会発行)は全国の書店にあります。   【岩国市医師会】