第264回 糖尿病シリーズ(最終回)

 

 

高血糖による糖毒はインスリンで素早く解消!

急に糖尿病が悪化した、あるいはコントロールがどうしても改善しないときは、早めにインスリンを使用して、良くなれば中止し経口血糖降下薬に戻します。高血糖が続くとそれがすい臓の機能を低下させ(糖毒)、糖尿病を一層悪化させますので、それをインスリンによって素早く解消するわけです。昔は、「インスリンは使い始めたら一生止められない」と言われていましたが、今は違います。しかも、インスリンは、化学的に合成されたのみ薬と違ってホルモンですので、副作用もほとんどありません。ただ、1日に何回か自分で注射しなければならない煩わしさがあります。しかし、注射器や針が改良され、大変便利になっていますし、痛みもほとんどありません。また、多くの患者さんが、小型測定器を使って自分で測った血糖をみながらきめ細かい治療をしています。肺炎のような重篤な感染症に罹患したとき、手術、あるいはのみ薬でコントロールが不可能なときにはインスリンは不可欠です。毛嫌いせずにインスリンによって糖尿病を早く落着かせて合併症を招かないようにすることが肝腎です。