第265回 インフルエンザについて

 

 

インフルエンザは突然の高熱と全身の痛みで発症(主にA型)し、嘔吐下痢等を伴うこと(主にB型)もあります。また、咳や頭痛が強く高熱が4〜7日続き、頑健な成人でもかなり辛い病気です。伝染力が強く同じ部屋にいるだけでも伝染(飛沫核感染)するので、会社も学校も家庭内感染も起こります。うがいや手洗いやマスク装用、部屋の加湿も重要な対策です。現在、抗ウイルス剤が3種類ありますが、いずれも発症から48時間以内に治療開始しないと症状を軽くできないことが多いので、この時期熱が出て通常より重症感があれば、早く医師にご相談ください。高齢者の方は、熱が出ないことがあり、乳幼児は他の熱の出る病気と早めに鑑別する必要があるので一層の注意が必要です。合併症では肺炎や中耳炎が多く幼小児では、時に脳症、脳炎を起こすことがあります。流行が大きいほど重症合併症になる人数がふえるので流行拡大を防ぐための予防接種が個人予防と同じく重要となります。集団内で予防接種をした人数がふえれば、流行拡大を早く止められ、未接種者の発病予防も期待できます。個人レベルでは接種終了後約2週間で抵抗力(抗体値)が上がりますが、約5カ月で低下するので、毎年12月初旬までの接種がお勧めです。最近は安全性も型の予測も向上し、良質なワクチンとなっています。