第266回 麻疹(はしか)ワクチンについて

 

 

麻疹は子供がかかる軽い病気だと思っていませんか。毎年世界で3、000万人以上の子供たちが麻疹にかかり、80万人以上が亡くなっています。日本でも年間数万〜数十万人がかかり、少なくとも30〜40人が亡くなっています。最近では成人でも麻疹にかかる人が増えています。麻疹は伝染力がとても強く、発熱、咳、鼻汁、目やになどが3〜4日続き、一時的に解熱した後、再び39〜40℃の高熱とともに発疹が出現し、熱はさらに3〜4日続きます。合併症としては、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎などがあり、脳炎の後に後遺症を残すこともあります。麻疹はワクチンによる予防が可能で、日本では1978年より導入され、患者数、死亡者数ともに減少してきました。しかしワクチン接種率が70〜80%と低いため、最近でも流行を繰り返しています。ワクチン接種率の高い米国では毎年100人程度の発症しかありません。ワクチン接種率が95〜97%まで上がれば麻疹の流行はほとんどなくなります。ワクチンは個人の予防とともに、新たな感染源とならないことで流行をおさえるためにも必要です。ワクチンの副反応としては、接種後10〜20%の子供に発熱、発疹を認めますが、通常1〜2日で消失します。1歳になったらできるだけ早く麻疹ワクチンを受けましょう。