第269回 知っていますか?水痘ワクチンの緊急接種の方法

 

 

水痘は小児の頃にかかる代表的ウイルス感染症の1つです。咽の粘膜や眼球結膜より侵入したウイルスは局所のリンパ組織でいったん増殖(2日位)した後、血中に入り(1次ウイルス血症)肝臓、脾臓、頚部リンパ節などに運ばれ、そこで12日位かけて大量に増殖し、一気に血中に流出(2次ウイルス血栓)し、毛細血管より皮膚に出てくる病気です。このいったん血中より消えて再び血中に出てくる点が他の病気と違う点です。家族内感染では後で発症する方が重症化しやすい事も知られていますし、また水痘の免疫は他の免疫に比べ胎盤より胎児への移行が少ないといわれています。そのためたとえ母体に免疫があっても、皆さんよくご存じの出生から5カ月頃までの病気にかかりにくい期間であっても水痘に関してはかかる可能性があります。そこでワクチンの緊急接種の方法です。水痘接触後早期(48時間〜72時間)に予防接種をします。すると大量に体内に入ったウイルス(ワクチン株)により免疫が出来始めます。この間、自然に入ったウイルスはリンパ節などで増殖中です。約14日後増殖が終了して血中に出てきたときは、すでにワクチンにより出来上がった免役により処理され発病が防げるわけです。唯一、水痘だけにワクチンの緊急接種で発病が回避出来る方法があるのです。