第278回 子どもだって心身症になります

 

 

 

 

朝になるとお腹が痛くなり、よく病院に来ていた男の子がいました。自分の髪の毛を引っぱり、髪が薄くなるくらい抜く女の子の相談を受けたこともあります。お腹が痛くなる子は給食が大嫌いで、そのために腹痛が出現していることがわかりました。髪の毛を抜く子は、お父さんに叱られたあとに無意識にしていることがわかりました。これらは心身症と呼ばれる症状と考えられます。心身症とは、心の不安やストレスが影響して、身体に症状が現れる状態をいいます。子どもの心身症の症状として、嘔吐・腹痛・頭痛・頻尿などがよく見られますが、喘息やアトピー性皮膚炎の悪化も心身症が原因のことがあります。大人の場合、ストレスがたまった時には友人とおしゃべりをしたり、お酒を飲んだりといろいろな解消方法があります。しかし、子どもには大人のようなストレス解消方法はなく、子どものほうが心身症の症状が出やすいとも言われています。子どものストレスとして、友達との関係・勉強のこと・家庭内の問題などが考えられます。しかし、原因を追求してもそれを取り除くことが困難なことも少なくありません。子どもの心身症のサインに周りの大人が気づき、子どもの思いをしっかり聞いて、ストレスとどう上手に付き合っていくかを話し合うことが大切です。