第281回 拒食症の子が増えています

 

 

 

夕食を取ったあと、こっそりトイレで全部吐いてしまう女子高生の相談を受けました。その子は人から「デブ」と言われたことと、もやもやとした不安からそのような行動をとっていました。よく聞くと進学のことで父との間で葛藤があったようです。

やせたいため食事をほとんど取らない「拒食症」や食事をしたあと吐いてしまう「過食症」は、以前は思春期の女性にみられる病気でしたが、最近は小中学生や男子にも見られるようになりました。拒食症や過食症は、極端なダイエットをして発症する場合と、何らかのストレスによって発症する場合があります。どちらも周りが気づいたときには著しくやせた状態になっていて、食べようと思っても食べられず、保護者が心配して医者にかかることが多いようです。しかし、この子たちにとってやせていることは大切な意味があり、言葉では表現できない苦しみを自分の体で訴えているのかもしれません。安易に体重を増やす治療を試みても、本人たちにその気がなければうまくいきません。しかし、やせ過ぎの状態が長く続くと成長が止まるなどの体への影響が出てきますので、医者にかかることは必要です。

拒食症や過食症は心と体の両方の病気です。心の奥にある見えない傷も、やせ過ぎてしまった体も両方とも治す必要があります。そのためには、子どもの心を理解するために何度も話し合い、子ども自身が治療に対して前向きになることが第一歩です。