ひとりぼっちの野球少年

 下畑小学校の児童玄関の横には、一つのドアがある。
そこは、とても古くよごれている。
 ある日のことだった。そうじの時間に少年がそのドアを開け、そうじをして いると・・・
「一緒にあそぼう・・・・・僕とあそぼう・・・・・」
と言う声がするのだ。
その少年がびっくりして声のする方を見てみると、
バットを持った少年がひとり、ポツンと立っていた。
そうじをしていた少年は、その場にほうきを落とした。
ポツンとたった少年はまた
「一緒にあそぼう・・・僕とあそぼう・・・」
と言いだした。
そうじをしていた少年は、震えるくちびるをゆっくりと開け
「何をして遊ぶの・・・」
と聞いた。 すると少年は、にやりと笑い
「・・・野球・・・」
と言った。 そうじをしていた少年は、ドアを開け飛び出していった。
 あれは、まぼろしだったのか・・・・・
 それとも昔の野球少年の亡霊か・・・
 
 それは、今でも謎である。

                     文 6年 アーヤームーン(綾 月)