バーチャル

 

 

 

何も生み出さない行為。

相手が君じゃなく、ううん、君が女の子だったらオレの遺伝子を遺せていたのにね。

ここにいくら精液を注いでも、君の中に変化は生まれない。

…快感だけは、嫌というほど生まれたみたいだけど。

ベッドの四方から伸びた手足に嵌められた枷を限界まで引っ張り果てる姿は、

これで終わりにしようかなと思うオレをまた引き留める。

「ハヤトの中、もういっぱいなんだけど…まだ欲しそうだね」

「…いらな…も…う…」

涙を流すきれいな瞳はオレだけを見つめている。

「そう?もっと奥に入れてほしいって、下のお口が言ってるよ」

「じゅうだいめ…痛い…」

「ああホントだ、手首、血が出てる。でもそんなに暴れちゃうから可哀想だけど、

取ってあげられないんだ、これ」

「ちがう…なか…奥…」

訴えを途中で遮って律動の再開。

上がる悲鳴には最初ほどの勢いはなく、その痛々しい姿にかえって目を逸らせない。

君の中に収まっていた自身を引き抜くと見せかけて勢いよく奥を突くと、

出入りするモノと共に零れ出る粘液が勿体無く思えてしまう。

この中にはオレのDNAが詰まっているからね。

「痛い…おねが…やめ…」

思考を中断する泣き声。

「ハヤトの上のお口の願いは聞けないな。だって嘘ばっかりつくから」

「ごめんなさい…でも…」

「こっちの方が正直だよ、またここにあげるからね、ご褒美」

「…い、やだっ…!」

激しく突き上げていた腰が動きを止め、これまででいちばん奥に精液を送り込む。

「あ…ぐう…」

「気持ち悪い?吐きそう?」

「う…」

脂汗が浮かんでいる。顔色も悪い。もう限界なのかな。

こんなにいっぱいオレをあげたのに、そんなに嫌な顔をしないでよ。

ゆっくりと君の中から出て行くと、いちど優しくキスをする。

まだお腹の中にはオレが沢山残ってるんだけどな。

繋がっていた身体を離しただけでそこまで安堵の表情を見せられると、

このまま終わりにしたくなくなる。

「っ…!あ…?」

くぷ…とソコに埋め込んだ指が内壁を擦る。

2本目、3本目と数を増やし、それに伴い動きも激しく。

「じゅうだいめ…っ、や…」

「ん?どうして?ここ、悦んでるのに」

指の腹で擦るだけで達してしまう急所のすぐそば。

それに触れるか触れないかのぎりぎりのところで蠢く指に、

君は無意識に腰を揺らして求める。

『そこ』に届いてほしくて。

「その口は本当のことを言わないなあ。もっと正直になりなよ、ここみたいに」

くぱあ、と指で後孔を開けば、中に溜まっていた白濁が指を伝って零れ出る。

反射的に力が入り、締まろうとするところをまた無理に押し広げれば、

君は痛みに泣き叫ぶ。

オレがこぼれちゃったね。もっと中に居たかっただろうに。

まあ、いいか。また何度でも、下からでも上からでもオレをあげるよ。

それこそ中からも外からも。君の全てにオレを滲みこませてあげる。

 

これで君の心の中にはオレのしたことが刻まれる。

そこから生まれるのは憎しみかな?

それとも、まさかの愛情かな?

ああ、これで何も生み出さないことはないね。

形として残らなくても、君の中にはいつまでもオレがいる。

それでいいにしておこうかな。

 

だから、何も成されないまま、ひとりで逝かないでね。

 

 

「中身、減っちゃったね。継ぎ足してあげるよ」

これで終わりと思った?

青ざめる君の中に、大きさと硬さを取り戻したオレを突き入れた。

 

 

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     私に甘い話は無理だ…(20090202

 

 

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