ボールパークへ行こう!

 

 

「野球観に行きたいよなあ」

オレの部屋でいつものように3人で宿題していると、ぼそっと山本が呟いた。

「どこへ?」

「この前新しく出来た地方球場なんだけどな、雰囲気とか施設とかがアメリカのメジャー並みの規模らしくてさ」

「へえ〜」

オレは実はあまりそういったことに詳しくない。嫌いじゃないけど特別に好きとも思わないレベルで。でも山本は野球部だし、これは観るのもやるのも語るのも楽しいらしい。

「ただ、ここって入場に関してすげえ厳しいらしいぜ。例えば…」

『銃砲刀剣類、花火、爆竹、劇薬物、ビン、缶類、ペットボトルの持ち込み禁止』

「…ねえ、なんか危険物とペットボトルが同レベルで扱われてんの?」

『手荷物検査、ボディチェック、金属探知機の使用も時には…』

「空港?そこ」

「あと、反社会的団体所属者…マフィアごっこしててもだめかな?」

「そうだよ!ダメじゃん。行けないよ、オレたち」

「何より完全分煙化なんで、獄寺は煙草吸ってちゃツナと一緒にいられないよな」

その一言で、今まで黙っていた獄寺くんが口を開いた。

「別に10代目も行くって決まった訳じゃねえだろ?」

「行かねーのか?ツナは」

「どっちでもいいけど…楽しいのなら行きたいかな?」

「絶対楽しーって!行こーぜ!」

こんなところはかわいいよな。遊園地に行く前、喜んではしゃぐ子供みたいに。

…と、思い出した事がひとつ。

「山本、お誕生日おめでとう!そこのチケット買おうか?プレゼントに」

「いきなりだな〜、でも覚えててくれたんだな」

山本は嬉しそうにいつ行くかな?と鞄から野球雑誌を取り出して日程を調べ始めた。

「雲雀さんからは何かプレゼントあるのかな?」

さり気なく問いただすと

「ん、今夜用意してくれるってさ。なんかオモチャらしいけど」

 

…まて。

 

「もうそんな歳じゃねーよっていったら逆に『本当はまだ早いんだけど、体格的には大丈夫だろう』だって。面白れーよな、ヒバリがおもちゃ屋で買い物する光景ってさ」

どこでどうやって手に入れたのか定かではないけれど、何にしてもそれは子供用じゃない気がする。そしてそれは獄寺くんも察したらしく、お互い目と目で声無き会話。

『明日が学校休みでよかった』と。

 

とりあえず、今日は夜までにケーキ食べようよ。今から急いで買いに行ってさ。

山本のバースデーケーキを。

あとは雲雀さんに食べられるだろうけど。

がんばってね、山本。

 

一番に宿題を終わらせた獄寺くんがケーキ屋に行ってきた。

そして帰り道にあったスポーツ用品店で買ったという、某有名メーカーの帽子を山本に向けて無造作に放り投げる。

「屋根の無い球場に行くなら必要だろ?誕生日のついでだ」

そこがドームでないのをオレはその時知った。

なんで獄寺くんは知ってたんだろう?

 

それにしても、野球観戦に行くのが今から楽しみだな。

 

 

<>

 

 

     4月24日に間に合いませんでしたが、山本、お誕生日おめでとう!野球はまじで私も観に行きたいです、あの新球場に(20090425

 



戻る