平行世界

 

 

 

「もう2日も食事摂ってないでしょ?」

力の入らない身体を弄ぶ、人懐っこい笑顔のひと。優しい口調と裏腹に、行為自体は激しく辛い。殆ど慣らされぬままの挿入で傷付き、流れた血で貧血を起こしたのか眩暈がする。

「ねえ、どうして食べないの。美味しくない?」

返事どころか息も上手くできない。打ち付けられる腰の動きは一定のリズムを保っていない。ひたすら最奥を突かれるかと思えば、自分の中の急所を執拗に攻められ幾度となく無理矢理頂点に導かれる。休む間もなく。

「あんなに大きな声で泣きわめいていたのに、もう声も出なくなっちゃった?」

朦朧とする意識の中で輝く琥珀色の瞳。

誘拐され、闇の売買で売られて来たここはまさに地下の世界。意思の尊重は無く、ただ息をしているだけの、大人のおもちゃ。

一見東洋人で、マフィアのボスというどこか頼りなげな印象を受けたこの大人はしかし、どれだけ懇願してもここから解放してくれるどころか、

「君、結構高かったのにな。お利口にしていれば躾をして、ずっと俺のペットとして飼ってあげたのに。せっかく感度のいい身体してるのに残念だよ。」

と背筋が凍るようなことを笑いながら言う。

ひとつもいうことを聞かない、慣れない、そして服従をしない。泣いて暴れて、ありったけの抵抗をして、決して堕ちない。

「君の容姿が好きだったんだけど。綺麗な銀色の髪の毛も、こんな状況でも真っ向から歯向かう気満々の緑色の瞳も。」

だけどね、と続けられた言葉に思わず息を呑む。

「あんまり食べてくれないんじゃ、死んじゃうよ。だったら俺が食べさせてあげる。上の口からが嫌なら、下の口から、ね。次の食事を残したら、ホントに。」

この眼は嘘をつかないだろう。いいことも、悪いことも…。

「わかったら、もう少し俺を楽しませてね、ハヤト。」

そうして、乾いた唇をぺろりと舐められた。

 

 

 

「あの子、今回は絶対に食べるはずだよ。入れておいてね、即効性の毒。」

ボンゴレ十代目沢田綱吉は食事を運ぶ係にそう告げる。

「効き目早くないと、苦しんで部屋を汚すんだよね。勿体無いけど、あんなに俺のこと嫌ってる子の相手も疲れたよ。」

 

自室に戻ると、早速新しく届いたリストを手に取る。

「ん〜、今度は気性の荒くない純日本風な子にしようかな。もっと長い時間遊べるような。」

ざっと目を通し、机の上の電話に手を伸ばした。

「あ、俺だけど、次はこのナンバー80の子、よろしく。そう、名前T・Yの…。」

 

 

 

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     交わることの無い平行世界のひとつには、こんな暗い世界があるかもです       よ。ちなみに獄と山は10歳前後で綱は大人設定。細かい?(20081017)

 



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