意志とクロール

 

 

 

 

 

 

 

「サービスおじ様、ぼくが今ここにいる事は高松には内緒にしてね。」

夜中にそっと忍び込む先は叔父のサービスの部屋。

「グンマ、人を待たせておいて遅かったな。」

確かに、夜に行くから必ず部屋にいてくれと言ったのは自分。だけどこんなに遅くなるとは思わなかった。謝りたくないけど仕方がない。

「ごめんってば!今日の勉強が終わらなくてなかなか抜けられなかったんだよ。」

まだ14歳になったばかり。しなければいけない事は山のようにある。

「お前、普段はぼんやりしているが、頭は良かったんじゃないのか?」

「頭はいいよ!でも高松に問題集丸々一冊やれって言われてさ、証明問題ばっかりで時間かかっちゃったんだもん。」

自分で云うのもなんだけど、途中で投げ出したり、ずるをして手を抜かなかったところは褒めて欲しい位だ。

「それで、私に用事とは何だ?」

「あ、そうそう…。ごめん、変な事聞くと思わないでくれる?ぼく凄く真剣に悩んでるんだ。」

声をひそめ、上目使いで話す。

「あのね、ぼく、シンちゃんが好きなんだよ。でもね、その…、どうしたらいいのか判んなくて…。」

恋愛相談、しかも相手はイトコ、おまけに男ときた。こんなの高松に聞いたら大変な事になる。ただ、他に聞ける人が思いつかない。

「どうしたらいい、とは?」

「あのね、その…やり方、教えて。」

「セックスか?」

「あっさり言わないでよ!恥ずかしいじゃないか!」

臆面もなくさらりと口にされると、自分の方が照れてしまう。

「何を言う。シンタローに何をする気だ。」

「知らないよりは知ってた方がいいじゃん。それともおじ様、知らないの?それなら別にいいけど。」

ぷーとふくれる頬をサービスの両手が包み込んだ。上を向かされ、いきなり口付けられる。目を閉じる暇もない。そのやわらかい感触と、強い力に驚き、慌てて頭を振って逃れる。

「お、おじ様…?」

顔が赤くなったのが判り、思わず後ずさる。

「これ位でそんなになるのならやめておけ。大体、この私を練習に使う気か。」

口元を押さえ、呼吸を整える。一度目を閉じ、そして決心してキッとサービスを見据えた。

「そうだよ、練習に使わせてもらうよ。だって、ぼく、シンちゃんを好きなんだ。シンちゃんの前でかっこ悪いとこ見せられないよ。」

「…お前、見た目と大違いだな。プライドの高さだけは一人前だ。」

「だけってなんだよ!もう色々人並み以上だって!」

そうと決まれば話は早い。サービスのベッドに腰掛け先に靴を脱いだ。

「おじ様、早くしてよね。あんまり時間ないんだから。」

「偉そうに言うんじゃない。お前こそ、途中で止めろと言うんじゃないぞ。」

「言わないってば!」

ぷりぷり文句を言っていると服を脱がされそうになったので、慌ててその手を払う。

「いい!自分でやるよ!」

「あと、あまり大声も出すな。」

「分かってる!」

気のせいか、このベッドの方が、自分の物より寝心地がいいように感じた。

 

 

 

サービスの舌が、生き物のように身体の上を這い回る。絶妙に快感のポイントを押さえられ、声を我慢できない。どうして、こんなに巧いんだろう?

「身体で覚えろ、どこが気持ちいいか、どんな処が感じるか。そこを攻めていけば落とせる。」

自分の身体が熱くなっている為か、サービスの手がやけに冷たいと思う。その手でいきなり自分自身を包み込むように握られ、飛び上がるほど驚いた。

「ひ、人に触られるって…、変な感じ…。」

「ここは優しく扱ってやらないと。例えこんなに小さくてもな。」

なんて事を言うんだろう。しかし反撃をする間もなく、口付けされて声を封じられる。舌を追われ、絡ませ、流れ込む唾液をむせながら飲み込む。

執拗に唇を追われ、空気を求めて開いた口を塞がれる。息ができない。このまま死んでしまうのではないかと怖くなる。

「…っ!」

ようやく与えられた空気に大きく息を吸い、咳込む。吐き気がして、思わず口を押さえた。しかしその手を引き剥がされ、ベッドに押し付けられる。

「やだ!やめて!」

再び口付けされる寸前叫んでしまう。おそるおそるサービスの顔を見た。

「…?」

サービスも一瞬驚いたような顔をしていた。自分に誰かの面影を重ねていたのかもしれない。

「おじ様…?その人と、ぼく、似てた?」

「あ…いや。」

お互いが我に返ったような気まずい沈黙。

「まったく、お前のその変な勘の鋭さは兄さんゆずりだな。」

一体、サービスは誰を見ていたのだろう。深く考えるのはやめにして、しかし自分の考えが間違っていなかった事を確信した。

「ひ、ひとりで楽しまないでよね。ちゃんと教えてよ。」

夢中になって自分を求めていた。誰と、あんなキスをしていたのだろう?いつも冷静なサービスの、やけに熱い部分を垣間見た気がした。

「気持ちいいとこ、教えてよ。」

気を取り直し、サービスを見つめる。

「そうだな、嫌というほど教えてやる。」

脚を開かされ、硬く熱いモノが押し当てられる。ぐっ、と押し込まれる痛みに思わず力が入る。しかし容赦ない力でねじ込まれるそれに、身体は自然に逃げの体勢をとる。ここまできて、怖い。目を閉じると痛みに集中してしまうので、サービスの顔を見ないように視線を逸らし、歯を喰いしばる。その様子を見てサービスが動きを止めた。

「お前は、シンタローが嫌と言ったら止めるのか?」

「や、止めないよ…。何が何でも、する…。」

「そうだろうな。」

中途半端に痛いだけの、この状態を何とかして欲しい。いつまでこの苦しさに耐えなければならないのだろう。

「だけど…このままじゃ嫌だ。」

「これから、天国に行かせてやる。」

「は…早くしてよね。今死にそうなんだから。」

「口の減らん奴だな。」

奥まで入り込んでいたモノがゆっくり引き出され、再び押し込まれる。何度も出入りを繰り返し、内臓が引きずり出されるような感覚に気持ちが悪くなる。

「嫌だ、それ、気持ち悪い…。」

サービスは答えず、今度は細かい動きで奥を突くように動き出した。ギシギシと、ベッドが軋む音がやけに耳につく。シーツを掴む手に力が入る。

「…い、痛い…よ…!」

「初めてで、最初から気持ち良くてどうする。」

ゆさゆさと大きく動くかと思えば、細かく突き上げられる。のしかかられると脚を閉じられず腰が痛い。細く見えていたが、サービスは意外に重かった。

「好きな人じゃなくても抱けるけど、抱かれるのは、やっぱり、好きな人の方がいいなあ…。」

「お子様が、何を言っている。」

痛みとは別の何かが身体の奥にくすぶりだして落ち着かない。自分からサービスの背中に手を廻す。少し驚いた様子のサービスに言ってみた。

「早く、いかせてよ。」

一瞬、動きが止まり、そして。

「大声は出すなよ。」

いきなり猛烈な勢いで突き上げられた。繋がった場所から体中に電流が走る。

「あ!あ!あ!」

悲鳴を上げる。腰を打ち付けられ、声を我慢できない。

「やだ!待って!」

こんなのは初めてだった。

「なに?これ?変なの…変だよ…。」

もう何を言っても止まらない。逃れようと身体をよじらせても押さえ込まれる。中の粘膜をあらゆる方向に擦られ突かれ、そこに辿り着く。

「あ!」

身体が跳ね上がる。何度ものけ反る身体を押さえつけられ、中の急所を、そこだけを攻め続けられる。

「や、いやあ!」

半泣きになって暴れる。軋むベッドと波打つシーツ。自分がおかしくなってしまいそうだ。

そして繋がったまま体勢を入れ替えられ、うつ伏せにされた。

「やめてよ!そこ、やだ!」

否定の願いは聞き入れてもらえず、腰だけを浮かせ、前に回された手で自分自身を強く握られ、扱かれながら揺さぶられる。空いたもう片方の手で乳首を弄ばれる。身体の震えが止まらない。繋がったまま、いつまでも大きく動き続ける。

「や…、ん、ん!」

身体の中で何かが爆発しそうだった。ぶるっと大きく痙攣する。

「…あ、あーっ!」

限界だった。

 

 

 

 

「ひどいよ、おじ様!」

「何が酷いものか。早くいかせろと言ったのはお前だ。参考になったか?」

終わって暫く経つのに起き上がることができない。このままここで寝てしまっては大変だ。

「参考ねえ…、なったような、ならないような。途中から判んなくなったし。あ、でも高松が様子見に来る前に帰っておかないと、また注意されちゃう。」

「また…?何かしでかしたのか?」

「人聞きの悪いこと言わないでよ。こないだからしょっちゅうシンちゃんの部屋に入り浸ってるたけだよ。」

シンタローは士官学校に行く為、ここでの生活はあと僅かしかない。学校では寮に入るので、今のうちに会えるだけ会っておくつもりなのだ。

「シンタローさえいればいいのか?お前も学校で同年代の友達が欲しくないのか?」

「いいよ、どうせずっと一緒にはいられないんだから。シンちゃんは、ぼくに友達がいないのを心配してるみたいだし、ぼくにはシンちゃんしかいないと思ってるみたい。だけど違うんだ。いらないんだよ、煩わしい付き合いなんか。」

引っ込み思案なふりをするのも大変なのだ。

「泣いてたらシンちゃんは飛んできて護ってくれるからね。時々は意地悪みたいなことされるけど、あれだって本心じゃないの判るから。高松の目を盗んでシンちゃんと遊ぶの楽しいよ。」

高松で思い出した。慌てて起き上がり、顔をしかめる。

「うー、まだ身体中が痛いよ。あ、シャワー使わせて。こんなんじゃ帰れない。」

そろそろと歩いてバスルームに消え、短時間で身支度を整える。

「おじ様、今日のことはヒミツにしてよね。お願いだよ。」

「誰に言えというんだ。」

「特にシンちゃん!好きな人が初めてでなきゃいけないなんて事、ないと思うんだよね。むしろ先に知っておかないと、かっこ悪いじゃん。だけどぼくだって誰とでもいいって訳にはいかないし。」

「お前、面食いだろう。」

「そうだよ、サービスおじ様なら合格☆」

Vサインをして、はっとする。

「おじ様、自分で何言ってんのさ!」

 

 

 

 

 

 

この頃、自分はシンタローの中に、キンタローを見ていたのかもしれない。それであれ程熱を上げていたのだろう。今ではそんな感情は全てキンタローに移ってしまっている。いや、元々これはキンタローへのものだったが。

 

 

 

 

 

キンタローとの出逢い。それはまた、別の話で…。

 

 

 

 

 

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     この話と「たくさんの〜」は繋がってて、そのうちupする予定の「あなたの出会いはどんなふうに世界を変えただろう」に続きます。サビグンだけどキングンなんです、これ。




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