いつも君を想ってる 報告だけを済ませると、さっさと退室しようとする有能な右腕に待ったと声を掛ける。でないと、今日はそのまま顔を合わせないで終わりそうな気がしたから。 「仕方ないだろ…」 ため息混じりに呟けば、 「…昔は何としても、どんな状況でも必ず…いえ、いいです…」 と、素っ気無い。 怒ってる…?それとも、 「拗ねてるの?」 後ろ向きの背中に投げかければ 「俺だって本当は…!もう、判っているくせに!」 反対に怒られた。 年に一度の君の誕生日。 これまではどんな事があろうとその日には絶対一緒に過ごしてきたのに。 それが今年は…。 「俺は自分の誕生日だから嬉しいわけではありません。10代目と一緒に居られるから、必ず貴方が傍にいて下さるから、この日のために頑張れるんです!」 うわあ、まるで子供じゃんという想いは声にせずそのまま飲み込んだ。 「ともかくもう君の誕生日は終わった。終わったけれど、オレとしては…」 「何ですか!?」 「9月9日の前後半年は君の誕生日としてお祝いしたいくらいだよ」 ゆっくりと振り向いた君は、一生懸命溢れ出しそうな気持ちを抑えているように見えた。 だから。 「では、祝ってください、今日」 「ああ、喜んで」 その想いを受けとめよう。全身全霊で。 「誕生日おめでとう、隼人。愛してるよ」 「10代目、俺も貴方のこと…」 いつだって、どんな時だって、ずっと君を想っているよ。 大好きな隼人の大切な誕生日。 忘れてなんかいないよ。 そしてこれからもよろしく。 こんなオレでよければ…ね。 <終> ※ 遅刻の理由はリアル生活の仕事の忙しさ…。10代目の気持ちも判って右腕…(20100924) |