悲しいほどに透明な

 

 

 

うつ伏せで後ろから貫かれた状態のまま、じゅうだいめにいきなり身体を起こされた。

繋がったまま、浮いた身体は支えてくれるものは何も無く、

勢いをつけて落とされて、咥え込んでいたものを深く体内に押し進めた。

悲鳴を上げた。

涙が出た。

今度は下からの突き上げ。

揺さぶられ、落とされて、食い込むそれを無意識に強く締めて。

「ハヤト」

急に耳元にじゅうだいめの声。

「前は彼に構ってもらおうね」

さあっと血の気が引いた。

両足の膝の裏を持って、左右におおきく開かれたじぶんの股間に震えて勃つまだ幼い性器。

そこを冷たい眼差しで見つめている緑色の瞳。

「じゅうだいめ…いや…」

首を振って否定しても。

「小さくてもちゃんとオレに反応して感じてくれてるんだ。咥えてやってよ」

「はい」

右腕と呼ばれる銀髪のあのひとは、じゅうだいめには絶対服従で。

「…だめ…いやだ…」

じぶんの声には無反応のまま、閉じられない脚の間に顔を埋めた。

ちゅるん、と軽く吸われて口にすっぽり収まる。

あたたかい口腔内で、裏筋を舌で舐められながらちゅ、ちゅと吸われて身体が熱くなる。

「ハヤトも嫌だなんて言っておきながら、すごい感じてるよね」

わざと耳に唇を触れさせて喋るじゅうだいめの声に顔も赤くなる。

「オレ、今動いてないよ。ハヤトが自分から腰振ってる」

「じゅうだいめ…やだ…これ…」

このひとから逃れようと腰を引けば、じゅうだいめとひとつになっているところが浮いて見えてしまう。

「舐めたくないって言ったの、ハヤトでしょ?だから舐めてもらってるんだよ」

「だけど…このひとは…」

きらい。

行為自体もいやだけど、このひととしたくない。

「彼の口に出したら、それは自分で飲みなさい。口移ししてもらってね」

目の前が絶望で暗くなる。

絶対にいやだ。

「嫌なら出さなければいい。耐えてごらん」

くすくすと笑う声が始まりを告げる。

「オレも、動くよ」

「…あ…」

お腹の中で、じゅうだいめのものがどくんと一度脈打った。

 

 

 

「…あ…あう…」

「ココ、突かれるの好きだよね?すぐイッちゃう位」

いつもは長い時間焦らされるのに、今はいちばん弱いところばかりを狙って攻めてくる。

「いや…そこ…」

激しくされるよりも、一層辛い急所への攻撃。

いきたくないのに、そこへの最短距離を目指すように弄られて。

「出しなよ」

じぶんの身体を知り尽くしているじゅうだいめ。

それに翻弄されて。

「…い…や…!」

「いつまで強情張れるかな」

「い…!」

歯を喰いしばる。

何度も快感の雷に打たれ、解放してしまいそうになるそこを泣きながら抑えて。

「すご…、いつもならもう2、3回はイッちゃってるはずなのに。先にオレがイキそうだ」

なかと、そとに同時に受ける責め苦。

本当にギリギリの所で耐えていて、いつ達してもおかしくない。

息が苦しい。

踏み止まっているここから少しでも動けば、堕ちてしまう。

「…っひ…!」

膝を裏から支えていたじゅうだいめの手が、そこを離して腕で支えるように体勢を変え、

空いた指先で胸の突起に触れてきた。

指の腹で押し潰し、くりくりとこね回す。

身を捩ると中の当たるところも変わり、それによってこれまで耐えてきた足場が崩れた。

 

限界まで抑えていたそこの解放感は、これまで経験したこともない程の…。

 

 

 

弛緩した手足。

浅い呼吸をするじぶんに、最後の一滴まで吸い取ったあのひとが口付けてくる。

もう、頭を振ってそれを拒むことさえできない。

流し込まれてきたのは、じぶんが放った精液。

つい先程まで、この身体の中にあったもの。

それが再び戻される。

全てを移し終ると、さっさと唇を離され、それを待っていたかのように

「飲んで」

とじゅうだいめの声。

閉じられない口からたらりと伝い落ちるそれを、じゅうだいめの指がすくって戻してくる。

そしてもう一度

「飲み込むの。こぼさないで」

命令形ではないが、逆らうことを許さない口調。

口を閉じ、こくりと喉を鳴らした。

「うん、いい子だ、よくできました」

これで終わり。

そう思い、焦点の合わなくなった目を閉じた。

「え?もう寝るの?起きて、まだ夜は長いんだよ」

信じられないじゅうだいめの言葉にゆっくりと目を開くと、

「今度は見ててもらおうよ、ハヤトのここが白いのを撒き散らすのを。第一オレまだイってないし。

もうオレのいいようにするからね、良い声で啼いてよ」

思考は痺れて停止状態。

「ほら、オレ達の結合部がよく見えるように…」

僅かに身体を後ろに倒し、

「出入りするとこ、見ててね。これで勃ってきたら次にさせてあげるから」

…誰に、何をさせる…?

「俺はここでいいです。ボスがそこを使って下さい」

細く冷たい指先が唇に触れる。

それに、何も考えず思わず噛み付いてしまった。

引いた手が頬を勢い良く叩く。

「…あ…ボス…」

条件反射のように迷いもない動作。

「いいよ、今のはハヤトが悪い」

打たれた頬にじわりと痛みが広がって、じぶんのしてしまった事を再認識する。

「ハヤト」

声が、怒っている。

「だから、同じように、ここも噛んでもらおうね」

ここ…と指し示したのは…。

「ごめんなさい!だめ!」

じぶんの、あそこ。

「噛んで」

「助けて!じゅうだいめ!」

じぶんの前では笑わないこのひとが、普段見せない白い歯をゆっくりそこに…。

「あ、凄い締まる。いいよ、されたことに対してのお返しなんだから」

じゅうだいめに捕らえられたまま逃げられないじぶんの意識は、そこで途絶えた。

 

 

 

 

「あまり見せつけないで下さい」

「妬ける?」

「はい」

「はは、正直だ」

右腕はいつも冷静だ。

昔と違い、感情をあまり表に出さない。

でもそれは他人に対して。

「大丈夫、オレには君だけだ」

「ボス…」

険しかった表情がほんの僅か緩んだ。

「だから、時々はハヤトで一緒に遊ぼうよ」

「…そうですね…」

浮気ではない、遊びだと。その違いは理解してくれている。

「でも俺の気持ちも…」

「はい、ストップ!それ以上言わないの」

言葉に出さなくても判る。知っているからと。

だけどね。

「愛してるよ君のこと」

時には声に出してみる。

「…お、俺が先に言おうと…」

「ふふ、先手必勝。言ったもん勝ち」

「ボス!」

「これ、毎日言ってもいいけどね、たまに言うと効くんだよね」

「俺は毎日言いたいし言われたいです」

「そんなとこ、昔と変わんないね」

「変わったところもありますよ」

「ん?」

「我慢、出来るようになりました」

 

 

大切なオレの右腕は、真っ白い歯を見せて笑っていた。

 

 

 

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     年の初めから3P…。あ、でも去年はもっと…いや、言うまい…(20100111

 



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