飾る
「お誕生日、おめでとうございます。じゅうだいめに…俺を…」
先日ハヤトに渡しておいたゴールドのリボンが目に飛び込む。
約束しておいたんだよね、これで君自身を飾ってオレに頂戴ね、って。
それが結ばれている場所。
全裸でベッドに脚を開いて座り、自分で膝の後ろを持って大きく開いて見せるそこ。
「もう、勃ってない?」
その一言で赤くなる頬がかわいいね。
「じゅ…じゅうだいめのことを考えながら結んでいたら…」
恥ずかしいだろうね、それを言うのは。
「…痛くなって…結び直したかったんですが…」
「でも、ほどくと出ちゃう?」
耳まで真っ赤になって、唇を噛んで君は首を上下に振る。
「上手に結べてる。…君からのプレゼントを開けてもいい?」
「はい…」
先を手で被ってからリボンの端を引っ張ると、シュル…と滑りのいい生地が元の直線に戻ってゆく。
それと同時に、手の中に吐き出される白いもの。周辺には飛び散らないよう、すくうように受けて。
その間、君はいちど目を閉じ大きく震える。
「確かに受け取ったよ、ありがとう」
手を開いて見せ、受けとめたそれをこれから使うきみの物言わぬ口の周りに塗った。
「お返しを、オレからも」
座っていた君をゆっくりと寝かせると、取り出す前から既に大きく育っていたモノを翳し、そこに軽く押し当てる。
「オレは中に搾り出すからさ、ハヤトから出た生クリームは、君に塗ってあげる。ケーキみたいに。
美味しそうにデコレーションして、ローソク立ててみようかな?オレの歳の数だけ」
なんて豪勢なバースデーケーキ。
「じゅうだいめに食べられるの、うれしいです…」
うっとりとその光景を思い浮かべ、
「早く、下さい…じゅうだいめの白くておいしいの…」
自ら腰を浮かせてそれを求める。
「うん、たくさんあげるから、ハヤトもいっぱい出してね」
「はい…」
少し汗ばんできた細い腰を引き寄せ、太腿から手を滑らせて膝の裏で止め、脚を大きく広げさせ、
「挿れるね」
と優しく言っておいてから、
そこに激しく突き入れた。
「ハヤト、もっと中、搾って…」
体内を掻き混ぜるように腰を回し、時々奥を突く。
オレは身体を起こしたままで君を見下ろしながら、2人が繋がっているところに意識を集中させる。
「じゅ…きも…ち…いい…!」
ひとつになってからはひたすら急所を攻め続け、君からはもう数回白濁が吐き出されていた。
その度に手のひらでそれを君の身体に塗り込むように広げ、
「まだ足りないよ。もっと沢山出さなきゃ」
と笑って見せる。
「…わ、かりました…」
息を乱しながら返事を返し、ぐっ、と下半身に力を込める君は本当に素直で可愛いね。
ああ、ここも、可愛いよ。
小さいながらもハヤトの気持ちの高ぶりを表す性器を、片手で包み上下に扱く。
直接与えられる刺激に君の中もびっくりしたみたい。
いきなりきゅっと強く締まったから。
でもこれくらいでこんなに驚くんじゃ、両手使ってこの先端を剥いちゃって、
剥き出しにした穴を爪で突いてみたら…どうなるかな?試してみようかな?
「あ…?あの…や…そこ…!」
竿の部分から根元を扱き、先を剥いた敏感なところに刺激を与える。
くすぐるように、優しく爪の先でこりこりと。
「…じゅ…!じゅうだいめ…!」
涙をポロポロこぼしながら、君は背中を反らしてシーツを強く掴む。
痛いはずはないんだけど、キツイのかな?
「これ、嫌?」
「…や…俺…ダメ…!」
なんだかこれだけでもいけそうだから、ここはまた今度構ってあげようね。
手を離すとほっとしたように身体から力が抜ける。
「嫌…じゃ、ないんですが…その…今は…」
「うん、判ったから、今は中でオレを感じて、ね?」
「じゅうだいめ…」
嬉しそうに笑って見上げるその顔に、オレは下半身に血液が集まるような感じがした。
それからは、熱くてやわらかい粘膜の奥、こりっとしたしこりをひたすら擦り自身を押し付けていれば、
「…あ…また…で…!」
びくびくと痙攣しながら中で絡み付き、勃ち上がっている君の先端から飛び出す快楽の証。
でもさすがに量は減ってきて、君は肩で息をしながら身体の力を抜く。
「ねえ、もう出ない?やめようか?」
そこでオレが少しがっかりしたように呟けば、
「まだ…やめないでください…!」
再び中に力を込める。
「じゅうだいめが…満足…するまで…」
そこまで想ってもらって嬉しいな。大好きだよ。
「…?…あ…」
更に大きさを増したの、中で感じてくれたんだね。
「あ…おっき…く、なって…また…」
「ん、そろそろ欲しいかな?いい?」
そう聞いておいて何だけど、返事をする前の君の口を、オレは自分の唇で塞いだ。
キスをしながらイクのって、好きなんだ、オレ。
君の中に広がる。
上下の口の中で、オレの流し込むものが…。
「あの…俺…じゅうだいめによろこんでもらえましたか?」
「ん?」
「じゅうだいめの、お誕生日なのに…俺ばっかりキモチよくしてもらって…」
申し訳なさそうに俯いて泣きそうで、でもまたそこが可愛いんだけどね。
「ハヤトがイク時の顔を沢山見られて、オレは満足だけど?」
その言葉にはっと顔を上げて、曇っていた表情がぱっと明るくなった。
「怒ってませんか?大丈夫ですか?」
「うん。あれでどうして怒るのさ。大満足だよ」
「よかった…」
ほっとしているその頭を撫でて、それから身体を包むように抱きしめる。
「ありがとう、嬉しかった」
「俺、も…」
その後は言葉が続かない。抱き合ったまま、流れていく時間の波が見えるようで。
これでいい。
今はこのままで。
たまにはこんなハヤトでも。
ファミリーで祝ってもらうのはこの週末。それが終わるまでは、この従順なハヤトで愉しもう。
「最後にもう一度、君の口からおめでとうって言ってほしいな」
「何回でも!おめでとうございます!」
頭を摺り寄せながら繰り返すお祝いの言葉。
でも、ふと気付いてしまった。
「…最後?」
「うん、ほらもう今日が終わるよ。今日限定だからね、おめでとうって言葉は」
「…ああ、はい…」
納得したかな?
「では、じゅうだいめも、最後にキスしてください」
「…ハヤト?」
軽い口付けを交わし、身体を離したところで時刻は今日に終わりを告げた。
「ありがとうございました。これで、俺…」
「ん?」
「いいえ、なんでも…」
そうしてもう一度、君からのお礼。
「ありがとうございました」
あえてそれには返事をせず、
「それじゃ、オレは戻るから」
立ち上がって服を着る。
背中を向けた君はそれから何も言わずじっとしたまま。
「何か言いたいんだよね?聞いてあげるよ?」
それこそ、最後に。
「じゅうだいめは、ひとつ歳を取りました…」
「そうだね」
「いいな、って、思って…。俺も早く大人になりたいな…って」
「そう…」
肯定も否定もしないまま、オレは部屋を後にする。
いい子だと思っていたけれど、時期を早めるかな…。
こんな時、煙草でもあれば…そう思ってポケットに手を入れると、中にはゴールドのあのリボン。
ハヤトが自分を飾っていた、それ。
オレには当然のように訪れた成人の歳。
あの子には…?
そんなこと気にするな、仕方がない。
リボンは、もう一度ポケットに入れた。
ほんの一瞬だけハヤトの顔が浮かんだ。
そうして、
「ちゃんとシャワーを浴びてから寝なさいって言うの忘れたな」
もう少しだけ、子ども扱いしたいなと思った。
そんな、今年の誕生日だった。
<終>
※ 綱誕裏バージョン…(20091027)