君との時間だけが本当の自分

 

 

 

君にだけは感情を包み隠すことなく、ストレートにぶつける。

イライラする時は手荒に扱い啼かせ、気分が良い時には優しくしてあげる。

だから毎日オレがどんな表情でドアを開けるのか、君は固唾を呑んで見つめている。

今日は微笑んでみせたらたら少しほっとしたように強張っていた身体の力を抜いたけど、

ポケットから取り出した玩具を目の当たりに途端、思ったとおり青ざめたね。

小さくて透明なハコの中で蠢くもの。

これが外に出ると君に襲い掛かるって、嫌というほど知っているもんね。

無言で笑いかけているオレに、震える声でこれを出さないでと言う君は何様のつもり?

うん、やっぱり出そうか。

 

 

 

 

 

 

最初は細い触手が媚薬に似た粘液を滲ませながら君の体内に侵入する。

まだこの時はそれほど痛くないはず。

それが腸内の粘膜から徐々に吸収され、泣き声が喘ぎ声に変わり始めた頃、

中で動きを止めていたものがいちばん敏感なところに攻撃を仕掛け始める。

手足に絡みついた他の触手は火照る身体を弄り、

白濁を吐き出す先端を被うように吸い付くのは、

それを全て頂こうと待ち構えたこのものの口。

抵抗ひとつできず、射精してしまえばそれを糧に体内のモノが成長して大きさを増す。

そしてまたそれに刺激を受け、イって、中で膨らむ。

助けてと泣き叫び、威勢がいいのは最初だけ。

そのうち段々理性が飛ばされて、声に勢いがなくなってゆく。

「こっち向いて。気持ち良さそうな顔を見せてよ」

俯いていた君の瞳からは完全に光が失せ、幾筋もの涙の跡が残る頬に手を当てる。

たすけて。

僅かに唇がそう動く。

「まだ、いけるでしょ?」

その言葉に絶望感を露にし、固く目を閉じた瞼の内側からは新たな涙が溢れ出す。

いきたくない。もういやだ。

そんな事を言うこのお口は塞いでおこうね。

オレのと、こいつの、どっちがいい?

え?両方嫌?

ふうん。じゃあオレが決めてあげる。

 

 

 

オレがベッドに腰掛けて自身を取り出すと、

触手に口をこじ開けられた君が泣きながらそれを咥え込む。

オレは別に強制的に舐めてなんて言ってないよ?

今これをしてるのは君を気持ち良くして、出たものを欲しているそいつなんだから。

ぐいぐいと頭を押さえられて喉の奥までオレのを咥えて、少し苦しそうだね。

どうせ全部は入らないんだから、その辺りでやめておく?

何本ものそれらに巻き付かれた君は、まるで操り人形みたい。

噛み付かないように口の中からも微調整されてさ。

そうして改めて始められる急所責め。

ぶるぶる震えて相当イイんだろうね。

あ、ビクン!ってなった。

達しても君のは全部吸い尽くされちゃうから、周りは汚れないね。

出し切っても、また次を強請されて、腰を振ってオレのを咥えたまま声にならない悲鳴を上げて。

ねえ、でもさ、吸いも舐めもしないでいられるのもつまんない。

少しは愉しませてよ。

吸い取られるだけの君に飲ませてあげるから。

 

口の端から零れ出る精液交じりの唾液。

「そんなに飲みたくない?」

オレが自分から捩じ込むように腰を進めると、君は息ができなくて苦しそう。

ま、あんまり苛めてもいけないかな。

少し君の気持ち良さそうな顔も見たいしね。

「これ飲んだらここはやめてあげるよ」

頭を撫でながら見下ろすと、涙で腫らした目でそっとオレを見上げ、意を決したように

咥えたオレのモノをくっと吸い、口に溜まっていた白濁を飲み下した。

なんだよ、やればできるじゃん。

ずるりと引き抜いた自身は、でもまだ物足りなさそうに硬さと大きさを保っている。

出したばかりでも、君のあんな様子に再び勃起したんだね。

「…、い、く…」

体内を弄られ君自身を煽って、達することを強制され続けて喘ぎながらの吐精。

「いや…だ…!」

結果、体内を満たすその体積は更に増えて圧迫感に身悶えする。

「くるし…じゅうだいめ…」

このまま意識を失くすまで犯される君を眺めているのもいいけれど、

せっかくだからオレだって挿れて愉しみたいな。

いい具合に解されて、敏感になったハヤトの中に入りたいよ。

「…うあ…っ…?」

無言でぐいと絡みついた触手ごと君を仰向けにさせて、

後孔をいっぱいに押し広げ入り込んだソレをゆっくりと引っ張って抜きにかかる。

でもそいつは中に吸い付くようにして初めは出されるのを拒んだので、少々手荒にぐっと強く掴むと、

「…お腹…いたい…なか…膨らむ…」

と、余計にハヤトを苦しめる羽目になる。

「きもちわるい…動いてて…たすけて…」

この助けてって言うのは、抜いてほしいって意味だよね?今それをしてるところだよ。

「いやだ…あそこ…いや…舐められてる…じゅうだいめ…!」

体内の急所をそんなにされるなんて、そりゃ嫌だろう。人ではありえない刺激の与えられ方に、

「じゅうだいめ!助けて!」

耐え切れず、とうとう悲鳴が上がった。

だけど。

「…な…?」

ソレから手を離して微笑むオレに、

「…どうし…て…?」

信じられないような顔で見つめてくる濡れた碧の瞳。

「やっぱ、気が変わった。オレはもう少し後でいいや」

それより今は、

「ね、どんな感じ?」

「え?」

「中のイイとこ、どんなにされてるの?知りたいな、教えて」

好奇心が上回ってしまったよ。

「もっと詳しく、どんな風にされて気持ち良くなるか…見ててあげるから言葉で表して」

オレが身体を起こして離れると、待ち構えていたように数本の細い触手が閉じようとしていた脚を

大きく割り開く。

完全に勃起した君のモノに裏側から舐め上げるように動く平たいソレは、まるで人間の舌のよう。

真っ直ぐ裏筋に沿って根元から先に進むかと思えば、

今度はくねくねしながらまた根元に向かって降りてくる。

ソレが行き来している最中にも肉竿全体が光るように濡れてきているのは、

人が唾液を絡めながら口で奉仕するように、

分泌された液体が震える君自身を湿らせてくれているんだね。

だけどそれはすぐに乾いたり、トロトロと垂れたりせずに染み込む。強力な媚薬として。

そのうち内股に伸びて蠢く触手は数を増し、速さを増す。

まるで猫か犬がペロペロと好物を舐めるように。

まあ、こいつにとっても好物ではあるんだろうけど。

閉じられない脚をヒクつかせ、自分で腰を振り続けて善がっているハヤト。

萎える間もなく勃っている自身やその周りがべっとりと濡れ、

身体が滲みこむ許容量をオーバーしたのか、とうとう粘液はポタポタと滴り落ち始める。

ぺちゃぺちゃと下半身を味わうように動くそれらが立てる湿った音と重なって、

オレの耳には心地良く響いてうっとりする。

そうするうち、ハヤトの上半身はかろうじてベッドに仰向けに乗っていたのに

次第に床に引かれてゆき、今や完全にアイツに取り込まれたカタチになってしまった。

それに伴い手首と足首を括るように体勢を変えられ、

丸見えになった弱いところは空いたベッドに座ったオレから丸見えだ。

喘ぎながら揺らす腰の激しさで、どれだけ君が気持ちイイかよく判るよ。

「そんなにイイんだ」

オレが声を掛けると今まで受けていたその行為に集中していたのか、君ははっとして我に返る。

「…じゅうだいめ…」

「いつまでそんな恥ずかしい格好晒したいの?まあ、そんな姿も好きだけどね、可愛くて」

「も…いやだ…こんな…」

「嫌なわけないよ、そんなに感じてて。オレに教えてって言ったのに、黙ってひとりで何回も…」

いきたくないのにいかされて?いいや、まだまだ足りないくらいだよね?

「お、教え…なか…俺…」

途端、不意打ちのように、小さいながらも硬くなった胸の突起を強く押し潰され、

「ひぅ…!あ…!」

腰が跳ね、咥え込んだそいつを強く締めるものだから、

「痛い!…いやだ!…痛い!」

大きくなっただけでなく、イボのような突起物まで生えた異形のものが激しく抽出をし始める。

ぎゅるん、と捩りながら菊門を押し広げ潜り込み、

腹内に溜まった自らが注ぎ込んだ粘液を纏わせ名残惜しそうに出て来るを繰り返す。

次第に速さを増す責めは、揺さぶられるというより身体全体が振動しているようで。

中同様に刺激を受け続けるきみのあそこは、一体どれだけこいつに飲ませてやったのか。

 

短い悲鳴と嗚咽。

達している最中も攻撃の手は緩められる事も無く。

 

延々と続けられるその様子を、オレも淡々と見つめていた。

 

 

 

 

 

脈打つように歪に蠢きながらぬめる触手は、かなり奥まで侵入していたらしく

ゆっくり引っ張っていてはなかなか全部が引き出せない。

ようやく先端がハヤトから取り出されると、

焦点の合わなかった君の目に緩やかに光が戻ってきた。

 

痙攣と、呼吸困難を起こし始めたので流石にこの辺りでやめておこうと思ったけど、

本当はもっと、壊れ切ってしまうまで見ていたかったな。

 

「ま…前…も…」

それだけ喋るのが今の君には精一杯のようだね。

願いはハヤト自身に吸い付くものも外してほしいってことかな。

でもね、君の言うことだけを聞けないよ。

「まだだよ、そっちは」

そろそろ今度はオレの番。

待たされた、って言ってもその時間愉しんでたんだけどね、君程じゃないけれど。

ベッドに寝かせ、何も塗らなくてもオレを簡単に受け入れられるくらい濡れたままの口に、

猛る自身を宛がい沈ませてゆく。

声は、キスで押さえる。

こんなに滑りがよくなって、挿入しやすいのは初めてだ。

いつもは固くて狭い入り口が丁度良くなってるよ。

おまけにやっぱりハヤトの中は柔らかくてあたたかい。

そんな風に気分を良くしているオレに対して、君は舌を絡ませているのに何かを喋ろうと躍起になっている。

身体を起こしてみると、下の口を奪われた触手が狙いを変えて、ハヤト自身に強く巻き付きながら、

「な、中…っ、奥…入って、いやだ…」

今度は尿道の奥深くにまで入り込んでいるらしい。

「じゅうだいめ…痛い…出ないと…これ…中から擦る…」

「ああ、早く出せって催促してんの?それなら出せばいいよ」

「…もう…ない…出ない…」

痛みと気持ち悪さが快感を上回っている空っぽになった体内を、

それでも煽って吸い尽くす勢いのそれに抗う事が出来ない君はただ泣くばかり。

「たすけ…ひ…っ!」

オレは動いていないのに、自分から腰を揺らす。

身体の内側から与えられる刺激から逃れようとしているような動きに思わずその腰を掴んで、

オレのモノで君のいちばん弱いところを突き上げた。

悲鳴と共に震える腸壁がぎゅっと内部で肉棒に絡みつく。

「…も…ない…いったのに…ない…」

必死の訴え。

「でもわかんないよ?試しにもう一回いってみる?」

「じゅうだいめ!」

ずぷんと沈み、ぬちゃりと引き抜きながら、締め付けるきつい口を愉しみ中の柔肉に包まれる、

脈打ちながら大きさを増していく赤黒い凶器。

泣きすぎて声も枯れたのか、悲鳴さえ途切れ途切れに搾り出す、

そんな君の奥深くを突き、揺すりながらオレの熱を急所のあのしこりに擦り付ける。

せっかく助けてもらえると思っていたオレからのこの仕打ちは、

君を奈落の底に叩き落すには十分だったようだ。

再びイッた君の体内の震えと締め付けを確認すると同時に、抱いていた身体からカクンと力が抜けた。

気絶?

いやいや、まだ寝かせないよ。

汗ばんだ君の身体を這う触手からは弱い電流も出せるんだ。

ぴりり。

と、体内に埋め込んだオレ自身にまで感じたショックは、君の敏感な箇所にはもっと強く効いた筈。

その証拠にすぐに飛び起きたもんね。

目を覚ましても変わらぬ状況に君は…。

 

「じゅう…だいめ…」

「ん?」

「ごめんなさい…」

「何が?」

「ごめんなさ…」

「だから、何を謝るの?」

「…ごめんなさい…ごめんなさい」

目が虚ろだ。

「ごめ…」

「もういい」

掌で口を塞ぐ。

むぐむぐと、手の中でそれでも謝りの言葉を発するように動く唇。

ああそうか。

もうハヤトにできることは、これしかないんだ。

許しを請う。オレがいいよと言うまで。

だったら。

ゆっくりと手を外す。

 

「…ごめんなさい、じゅうだいめ…」

 

「まだ、許さない」

 

オレの気が済むまで。

 

抵抗を諦めた君を一晩中、オレが満足するまで、かわいがってあげるよ。

あいつは片付けようね。

これからはふたりだけで愉しもう。

 

「ごめんなさい…」

 

「許さない」

 

「じゅうだいめ、ごめんなさい…」

 

今夜はこれ以外の言葉を聞けないかな。

 

「…じゅうだいめ、ごめ…んんっ…!」

それを遮るように口付けて、キスをしたままオレは少し嗤った。

ここで、君にだけだからね、こんなオレを見せるのは。

この時間だけ、自分を曝け出す。

それを見る事の出来る君は、それを良いと思うかどうかは別だけれど。

 

 

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     またかよ…と。人間以外をだすのはもうやめようと思うんですが…(20100310




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