君のために僕ができること 「…う…。」 声を出さないように自分の両手で口を塞ぐハーレムに、ルーザーは更に大きく足を広げさせ自分のモノを埋め込んでゆく。激しい痛みに涙が頬を伝っても、それでも声を上げまいと必死で目を閉じ耐えている耳元で囁く。 「ハーレム、目を開けて。顔を見せなさい。」 兄の声に従い、ゆっくりとその手が下がる。 「痛い?やめてほしいの?」 首を振る。そうやってルーザーの求める答えを示す。 「きちんと言ってくれないと判らないよ?」 「ひ…っ!」 シーツを掴むハーレムの手に力が入る。きれいにベッドメイクされていたルーザーの広いベッドを掻き乱す。 「何て言うのか忘れたの?」 ルーザーの全てを飲み込んでいる小さな口には十分な潤いが与えられていない。そこを無理に出入りすれば傷付くのは当然。痛みに引きつるハーレムの顔を見ながら次第に激しさを増す律動。 「いいよ、ゆっくり思い出しなさい。」 狭くて熱いハーレムの中で次第に高まるルーザーの興奮。そして強く締め付けてくる刺激を受け、最奥を突き上げ責めると、震えて泣きながらも喘ぎ始めるハーレム。 その唇を舐め、軽く歯を立てる。舌を滑り込ませると自ら口を開いてそれを迎え入れる。 絡み合い、吸い付き、交わりあう。こんなふうに粘膜の刺激だけで簡単に高みに昇れるのだという事をハーレムは身をもって教えられた。しかし逃げることの出来ない空間で追い詰められるそれは、もはや口付けというより強姦に近い。 息が苦しくて次第に意識が朦朧となる。 そんな時絶妙のタイミングで急所を刺激され目が覚める。 ルーザーの舌はハーレムの耳と首筋に狙いを変えて這い回る。 同時に体内のいちばん弱いところを突かれると腰が自然にくねるように動き、中を収縮させルーザー自身を締め付ける。動くと痛い。でもソコに当たると脳天まで突き抜ける何かがハーレムを襲い、痛み以上の気持ち良さに恍惚となる。 絶頂に達するまではいかせてもらえない。そのため背を反らせ、身体を捩じらせながら限界が近いことを知らせるが、そうするとルーザーはわざと動きを止めて苦しみを長引かせ、その反応を見て楽しむ。 「なに?言って。」 その言葉に我に返ったハーレムの開きかけた口が固く閉じられた。 「気持ちよかった?ここまでは。」 これで終わり。それ以上、快楽を与えない。それを求めて他人に喜んで身を委ねるようになってはいけないから。こんなに無防備に乱れた姿は他の誰にも見せられない。 だからわざと手荒に扱う。 それからは両手を掴んで声を出すなと命じ、苦しい体勢にさせて貫く。抵抗すれば殴る。こちらの快感のみを重視した一方的な交わりを嫌というほどその身体に刻み込む。 そうしておいて、その口に言わせる。 『欲しい』と。 「今日はとうとう言えなかったね。次には思い出すんだよ。」 優しく呟くと、ハーレムの奥深くに白濁した粘液を流し込んだ。 「今日の分だ。飲んで。」 ハーレムの目の前に翳された小さな瓶。その中身は、毒。 薄めているが、体内に入ればそれなりの効き目はある。毒物に耐性をつけるため最近になって少しずつ飲ませている。 ハーレムが初めてそれを飲まされた時の事。 嚥下した直後から襲い来る吐き気、胃の不快感、そして痛み。本当に死んでしまうのではと覚悟した。いきなりこの量は多いのではと思うが声が出ない。膝を折り、背を丸めて小さくなる。 「吐くと今度は食道も傷める。少し我慢していなさい。」 いつもの静かな口調が頭上から聞こえる。 「苦しいかもしれないが、この量では死なない。」 本当だろうか、こんなに苦しいのに。熱い炎の塊を飲んだように腹の中が痛むのに。 「殺すつもりで毒を盛れば、そんな痛みなど感じる間もなくあの世行きだ。」 冷たいルーザーの手が額に触れる。この手はどうしていつも冷たいのだろう?それに触れられる時、自分の方が火照っているからだろうか?それとも兄の身体には暖かい血液が流れていないからなのか。 「こんなに汗をかいて、暑いのかい?ああ、でも手の先は冷たい。そろそろかな。」 抱き上げられベッドに寝かされて口移しに液体を飲まされる。一口ごとに呼吸が楽になるような気がして、無意識に両手でルーザーにしがみつく。 次第に痛みが引いていく。だが、ようやく助かったと思っても、すぐには解放してもらえなかった。 「身体の状態を見よう。服を脱いで。」 そうして、いつものあの行為が始まる。この日は身体に力が入らず、ルーザーに執拗に嬲られ続け、最後の時の記憶は無い。 「う…あああ!」 口元に瓶の冷たさを感じた瞬間、ハーレムは反射的にそれを払い除けていた。 飛び散る液体。 高級な絨毯の上に落ちて転がる小瓶。 一瞬の静寂。 と、同時に堰を切ったように声を上げて泣き出すハーレム。もう抑えきれない。緊張の糸は切れてしまった。 「助けて!誰か!」 「静かにしなさい。」 「いや、いやだ!サービス!助けて!」 錯乱状態になり、尚も泣いて暴れ続けるハーレムを押さえつけ、素早く手足を縛る。それから何事も無かったかのようにルーザーは新たに薬を用意する。 やがてその身体から力が抜けると、今度はうっ、うっと嗚咽が聞こえ始める。悲しそうに、搾り出すような声で泣き続けるハーレムに容赦なく、 「今度はこぼさないように飲むんだよ。」 そう言って上を向かせる。 「口を開けて。」 涙でにじんでよく見えないルーザーの顔。 でも、その瞳だけは鮮明にハーレムを射抜く。 「他人にお前を殺させはしない。それならいっそ僕がこの手で逝かせてあげるよ。他人の手にかかってというのは、お前も不本意だろう?」 どれだけ厳しい口調で叱られた時よりも、この時の瞳に宿る狂気の方が恐ろしい。 「大丈夫、様子がおかしくなれば、それなりの処置をしてあげるよ。」 笑みを浮かべてルーザーはゆっくりと瓶を傾けた。 <終> ※ 基本的には毒に耐性をつけるために…ていう話なんですが、なんかすごい書き直しました。本当は高松も出すつもりだったのに収拾がつかんくなりそうなのでやめたり。ちょっと、自分的に消化不良な感じです。ごめんなさい。 |