混沌

 

 

 

ハーレムが嫌いという想いは、きっと相手にも伝わっている。

ルーザーの調合した薬によって身体の自由を奪われ、今こうして高松に犯されている時もその瞳から決して光は失われていない。

このまま、この首に手をかけたい。

その口と鼻を塞いでしまいたい。

いっそ、刃物で一気に喉を切り裂きたい。

様々な考えが頭を巡る。

こんな子どもに。

自分は嫉妬して。

揺さぶられ、涙を流しながらも声を殺し、耐えている姿。

子どものくせに。

しかしあのルーザーが気にかけ続ける、たったひとりの…。

お前などいなければいいのにと、何度思ったことか。

仰向けだった身体を反転させ、うつ伏せにして腰の前に手を伸ばす。

「…いっ!」

小さく声が漏れる。

腰を打ち付ける動きに合わせてハーレムのモノを強く手で扱く。同時に内部と外の一番弱いところを刺激され、双方に集中出来ず、双方に感じて混乱している。

助けを求めればいいのに。いちばん上の兄に。

どうしてそれをせず、大人しく抱かれて泣くのか。

それとも、厳しく口止めをされたのか。精神と身体がそれを忘れられないほどに。

考えながらも自身はハーレムを激しく突き上げ、手はぬめりを吐き出し始めたそれを受け止め、塗り付けるようにしながらスピードを上げて扱き続ける。優しく扱うなんてとんでもない。この子の全てを壊してやりたい。

ハーレムの手が強くシーツを掴み震えている。

壊れろ。このまま、心も肉体もめちゃくちゃになってしまえ。

空いている片方の手でハーレムの髪の毛を掴み、ベッドに顔を押し付ける。

それでも。

この子は耐えて耐えて。

狂ってしまうのは、ハーレムよりも自分の方が先かもしれない。

早く終わらせて欲しいと願っているであろう。

まだ、放しはしない。

しかし、こんなことをしたくないのはむしろ自分。

初めて高松がハーレムを抱いた時、貫かれ泣きながら、この子は自分に向かって助けを求めた。必死で、救いを求めて手を伸ばしてきた。

それを、自分は拒絶した。

自分に命令していいのはルーザーだけ。

自分が求めるのは、ルーザーただひとり。

彼が望むなら、赤子でも、その命を奪えるだろう。

だから、ハーレムの願いなど聞けない。

そうして、その考えにハーレムも気が付いた。

例えルーザーがその場にいなくとも、高松だけには決して隙を見せない。あからさまに嫌悪の表情を浮かべることもある。言葉に出さなくとも、心の叫びは高松に向けられていた。

「俺に近づくな」 と。

 

「…う…。」

ハーレムは気を失い、身体から力が抜けた。乱暴な扱いでもう一度仰向けにする。

そうしておいて一旦自分はベッドを降りて身支度を整えた。大きく息をする。

それからゆっくり顔を近づけ、耳元で囁いた。

「さようなら。」

ぐったりと横たわる身体に跨り、まだ片手でも余るほどの首に両手をかけた。

首の骨が折れるほど力を込め、締め上げてゆく。

 

そうだ、こうしたかったのだ自分は。もっと早くこうすればよかった。

迷いの元を、苦しみの元を取り除く。排除する。

 

意外に短い時間で、その行為は終わった。

こみ上げる満足感。達成感。

 

 

そうして毎日、朝を迎える。

 

 

夢を見る。毎夜。

ハーレムを殺す夢。

現実には起こらない願望。

 

 

高松はルーザーの推薦と学費の援助によって医学の道に進み、資格を手に入れた。

約束どおり彼らの屋敷に設けられた自分用の部屋で、専属の医師として仕える事の出来る喜びを味わいながら過ごす日々。

 

ただ、ひとつの憂鬱を除いて。

 

 

 

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※ 実はまだ話は続くんです。ごめんこんな高松で。

 

 

 

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