これも全て同じ一日

(そしてまた綱獄)

 

 

 

「何食べたいですか?ピザでも取りましょうか?」

「ん〜、何でもいいよ。獄寺くんと一緒なら何でも美味しいと思うから」

名前で呼ぶごっこは一時休止。とりあえず今はお互いお腹空いてるし。

「10代目、それ凄い殺し文句ですよ」

「いやいや、いちばん美味しいのは獄寺くんだよ…とか言えばそうかもしれないけど、まだこれくらいじゃ甘いよ〜」

真っ赤になって固まったその手に握られたピザ屋のチラシをそっと引き寄せ、玉ネギが入っていないやつを探してサイズの確認。

「からかうと面白いね、獄寺くんは」

「か…からかってたんですか!?」

「うん、少し」

ガーンと項垂れたままの君を軽く無視し、電話をかけてさっさと注文を済ませる。

「君を頂くのは食事のあとのお楽しみだから。それまで待っててね」

「ええっ!?」

落ち込んだり浮上したり、忙しいね。

「あ、そういえばここからの帰りに山本と雲雀さんに出会ってね…」

「あいつらに、何か言われたんですか?」

「ううん、話をしてたら何だかお寿司が食べたくなっちゃったんだ。今度山本の家に食べに行こうよ」

「それなら出前は寿司の方が良かったですか?」

「別に…獄寺くん、ここのピザお気に入りみたいだから、これでいいんだけど。さっきも言ったけど、一緒に食べれば何でもごちそうだよ」

「10代目…」

目をうるうるさせて見つめられていたその時、玄関のインターホンが来客を告げた。

「もう来たはずないよね…早すぎ…」

何故か当たり前のように対応に出てみれば…。

「よう、差し入れだぜ!」

「山本?え?雲雀さんは?」

「何ぃ?山本だと?」

そこには風呂敷包みを抱えた親友の姿。

「なんか親父がみんな来るものだと思ってたらしくてさ。いっぱい作ってあったから、それでせっかくなら食ってもらいたいから包んでもらったんだ」

「あの…雲雀さんは、もう帰った?」

恐る恐る聞くと

「ん?ああ、食ったらさっさとな。また明日、なんつって…」

…明日も行くんだ…。

そんなことより。

「お寿司!」

嬉しそうに包みを受け取ったオレの横で複雑な顔をしている獄寺くん。

ここは君の家だけど、オレが決めてもいいよね?

「ねえ、これからピザも来るんだ。一緒に食べようよ!」

「マジで?」

「ちっ、仕方ねえ。10代目がそう仰るからな。上がれよ」

「うわ、ラッキー!」

子供みたいに喜ぶ山本に、オレの方こそお礼を言いたいよ。

これくらいの量なんて実は軽く食えちゃうはずなのに、わざわざ持って来てくれる君の優しさ。

その気持ちが嬉しいよ。

 

 

満腹での帰り道、何か忘れ物をしたようで落ち着かなくてふと立ち止まって考える。

「どした?ツナ?」

「あ〜、そっか、約束ひとつ守れなかったんだ」

「何を?」

「いや、いいや、明日でも十分いける」

「ふーん。じゃ、明日学校で会おうな」

分かれ道で手を振って、ひとりになってから携帯を取り出す。

 

「獄寺くん?美味しいデザートを頂き損ねちゃったから、明日もお邪魔していい?」

 

こんな一日、大好きな一日。

これも全て同じ一日。

 

 

 

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     この日付にupするのはどうしてもらぶらぶがよかったんです!理由はぶろぐにて…(20090810

 

 



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