狂宴 まず、右手首と右足首をひとつに縛る。同様に左手と左足も。そうして仰向けにされると自然に秘所は露になる。 脚は閉じられない。 さわだつなよしと名乗ったその人がチューブ入りの薬を一度指に出して秘所の周りに塗る。まだひんやりとした感触。 今度は指にたっぷりと薬を取り、固く閉じた狭い口に塗り込みながら侵入させた。 じらして楽しむのではなく、そのまま、指で直に前立腺を刺激する。 そこを擦られるだけで声が抑えられない。 「いい声だね、もっと鳴かせたくなる」 中途半端に快感を与えた指を抜き、目の前に翳した物…。太く、長い物体は男性器を模していた。 「こっちにもたっぷりと薬を塗ってある。入れる時も痛くないよ」 声を出す間もなかった。 先ほど指が軽く中をほぐしただけのそこに無理矢理それを捻じ込み押し進める。最奥まで入ったのを確認すると内部を探るようにしながら 「この辺りかな」 と独り言。 そうして躊躇なくスイッチを入れる。 細かく振動するそれは敏感な急所に激しい刺激を与え、一気に頂点へと誘う。 手は後孔を貫く楔に届かない。 その刺激から逃れようと腰を振り、懸命に身体を捩る。しかし苦しみから解放されたい一心で動くことにより、更に内部の刺激を強く感じてしまう。 抜いてと叫んでも、嫌だと泣いても、あのひとは笑って見下ろすだけ。 達して自身から飛び散るそれはまるで白い涙。 仰け反り、声を枯らして許しを請う。 たすけて…、この機械を止めて…。 何度か吐き出した精で腹や胸、太腿が白く汚れる。 「あ〜あ、こんなにしちゃって。一度とめようか」 その言葉にこくこくと首を縦に振る。やっと解放されると安堵したのも束の間。 「…?っ…なに…?」 体内で動き続けるモノはそのまま、なのに。 「…そこ…触らな…っ!」 休むことなく勃ち上がることを強要されていたところ。その根元に痛みが走る。 「よし、これでもう大丈夫。あんまり出すぎてるみたいなんで休ませてあげたよ」 信じられない行為。 未だ震えながら天を仰ぐそこには真っ赤なリボンが幾重にも巻かれきつく結ばれていた。 とめる、の意味。 スイッチを、ではなく自身から溢れ出す方を、留める。 「そんな、これ…痛い…」 身体にとどまる熱の逃げ道を塞がれ、汗が噴き出す。 「とめてって自分で言ったのに。何?もう外してほしいの?」 「くるし…痛い…」 「そう、取ってあげようか?でもオレにかけたら駄目だよ。君の大好きなお仕置きが待ってるからね」 ムリ!絶対に無理だ! そう思っても声にならない。腫れて熱を孕んだ自身に指が触れるだけで呻き声が漏れる。 擦られる刺激。今いちばん敏感な箇所に神経が集中する。 「ははっ、カワイイね。その顔も、勃起してもこのサイズなここも」 「…い…やだっ…!」 我慢出来なかった。 解放感と共に、目の前の人物の顔を、手を、仕立ての良いスーツを自分の放った白濁が汚してゆく。避けようともせずそれを受け、冷たく笑う眼。 「沢山出たね。気持ちよかった?」 「…あ…あ…」 まだ奥には振動が与えられ続けている。 「オレ、約束は守る人だから」 たすけて… 「お仕置きっていっても、色々あってね」 こわい… 「優しいオレは、痛くないやり方にしてあげようと思うんだけど?」 ここはもういっぱいだからと、一度玩具で大きく中を掻き混ぜるようにして2、3度突き上げて。 「今からオレの出すもの、全部こっちの口で飲んでもらおうか」 指が唇にそっと触れて開くよう促す。 「オレの味を覚えて」 一滴も零さないで。吐いたら許さないよと。 琥珀の瞳に見つめられ、恐怖で身体が硬直する。 「はい、あーんして」 …言葉とそこに含まれる意味の温度差に、 「おっと、その前にお薬も飲んでおこうね。君がイヤイヤ言わなくなる、甘いお薬だよ」 …狂わずに、 「純度の高いやつだから副作用は殆どないって」 …耐えられるだろうか? 「実は大人でもかなり効く代物なんだって。ハヤトはまだコドモだから半分にしようと思ったけど、…全部いっちゃう?」 無邪気な言葉。目の前に翳された瓶の中で揺れる液体。量が少ないのは、純度の高さの証明だろう。 「多分オレが満足しても君の身体はまだ欲しがってる筈だよ。そこで上手におねだりが出来るようになったら、おしまいにしてあげる。解毒剤はちゃんとある。だからハヤトからすっごくいやらしい言葉で誘えるように練習しようね」 飲み干したクスリの味は甘かった。 また飲みたくなるような甘美さで、また飲んでもいいかなと思わせるように、それを狙ってその味が付けられたかのように。 自分に明日は訪れるだろうか。 しかしそんな考えはほんの一瞬。 あとはもう、夢の中にいるような。 悪夢の…。 <終> ※ 「遠ざかる〜」のお話の前夜…(20081214) |