おそろい記念日

 

 

夜、お風呂に入ろうと思って気が付いた。

「これ、オレのパンツじゃない…」

今日獄寺くんの家で脱いだ時、たまたま2人が同じ柄のパンツだったのを見て始める前に大笑いしたんだよな。けど、その後普通間違えるか?というか獄寺くんからまだ何の知らせもないよな?

頭を抱えて座り込み、これからの行動を模索する。

つい最近獄寺くんはイタリアにダイナマイトの仕込みに行っていた。で、帰ってきた時差し出された包みが…。

『これ、お土産です!俺とお揃いのパンツです!』

何でまたそんなものを…とツッコミを入れたら

『前に俺のはいてたやつ見て、いいね、それどこで買ったの?って仰ったのを思い出しまして。それで今回同じの探して来たんです』

わざわざ探してまで買ってくれたものを受け取らないわけにはいかず、その場ではありがとうと言って貰ったんだっけ。

その結果がこれだけど。

でもなんにしてもこのままではまずい。脱衣かごに入れた服をまた着直して、慌てて出かける支度をする。

「獄寺くんとこに忘れ物!ちょっと行って来る!」

夜の街を走って本日2度目の御訪問。

 

 

 

「10代目!どうされたんですか!」

驚きと嬉しさが入り混じったような顔で出迎えてくれた玄関先で簡単に状況説明。

「…というわけでオレのパンツ貰いに来たんだけど…。」

実は獄寺くんに家に来てもらうって手も考えたが、そうすると2人してもう一回脱いではき替えて、というのをもしも母さんに見られでもしたら…。ちょっとこわい。

「だから、早く…」

そこまで言ってふと気付いた。

獄寺くんも気まずそうな雰囲気。

「もう、洗濯中です…」

お風呂上りの寝巻き代わりのTシャツとスウェット姿に最初に気付くべきだった。

「申し訳ありません!」

深々と頭を下げる君が悪いんじゃない。でもオレも悪くない。

なんだか急に疲れがこみ上げて、

「のど渇いた…なんか飲ませて…」

と靴を脱いで上がった。

 

「コーラとジュース、どちらにしましょうか?」

「コーラ」

氷の入ったグラスにとくとくと注がれる黒い液体と、そのペットボトルを持つ細い手首から繋がる白くてこれまた細い指のコントラスト。それが何だかきれいでじっと見つめてしまう。

無言で凝視していたオレを怒っているのと勘違いしたのか、獄寺くんはまた小さな声で

「10代目、本当に申し訳ありませんでした」

と頭を垂れた。

「どうしようかな…乾燥まで待って着替えて帰るか、なんか言い訳考えるか…」

いただきますと冷たい炭酸を口に含む。パチパチという泡のはじけるような、くすぐったい感じが気持ちいい。ひと口めを飲み下し、後はごくごくと勢いよくグラスを傾けると、あっという間にそれは空になり、中でカランと氷が鳴る。

「ごちそうさま」

テーブルにグラスを戻した瞬間、あることを思いついた。

「飲み物こぼして着替えさせてもらったことにする?オレ、家でもよくやるからさ」

「あ、はい!」

それならとまたコーラを注ごうとする獄寺くんの手を止めて、顔を近付ける。

「ホントにこぼさなくっていいってば」

「あ、そうっすね…」

「それより、こぼすのはミルクってどお?」

瞬時に意味を察して真っ赤になった獄寺くん。

「せっかくお風呂に入ったけど、いいよね?」

「はい!」

ちゅ、と頬に軽くキスをして、場所を移動した。

 

 

 

 

お互い服は着たまま、獄寺くんはズボンの片足を抜いて、オレはそこを出しただけで深く繋がって求め合う。腰を揺らす度に呼吸が乱れ身体が跳ねて、中のそこが感じるところだと教えてくれている。

仰向けで脚を開き、オレを迎えているその口の上では触ってもいない君のモノが震え、温かいミルクをオレに吹きこぼす。

密着させて奥を突き、円を描くように回すとそれに応じてベッドがきしきしと音を立てる。小刻みに揺すり、最高の頂に導く。何度でも。

「気持ちイイ?」

「はい…10代目も…俺の中に出して下さい…」

「うん、いっぱい出すね」

キスをしながらオレのミルクは君の体内に。

美味しい、大好きですと耳元で囁かれると、後はもう本能の赴くままに求め、与え、身体の中から溶け合って、このままオレたちは本当にひとつになれるような気がしてくる。

それにしても、所々見え隠れする獄寺くんのお腹や脚は本当に白い。着ている物が濃いめの色だから余計にそう思えるのかもしれないけれど。

短い息継ぎを繰り返しながら薄目を開けて見上げてくる君を見ると、それでまた下半身に集まる血液の流れを感じる。

「ごめんね、あんまり時間なくてお昼の時ほど気持ちよくさせてあげられないかも」

「そんな…こと…」

「こことかそことか、ホントは舐めたりつまんだりしてさ、挿れるまでにイカせてあげたかったけど」

捲り上げられたTシャツの下に隠れている胸の突起を服の上から指でつん、と突く。

「…んっ…!」

君の身体に沢山ある気持ち良いポイントを全部構ってあげたいよ。そうしてそんな声をもっと出させてあげたい。

服の下に片手を滑り込ませ、上下する薄い胸を撫で回す。そしてもう一方の手でミルクや蜜を垂れ流し続ける君自身をゆるく掴みゆっくりと扱く。腰の動きもゆっくりにして。じれったくなった君が自ら中のいちばんイイ処にオレを誘うように仕向けたくて。

案の定、

「10代目…いかせて下さい…」

と涙目になった獄寺くん。自分で腰を揺らして入り口を締めてきて、この生殺し状態からの脱出を試みている。オレに中を擦られて、感じて、精射したいよね。今日の昼間あんなに出したのにもうこんなに溜まってるし。

「そうだね、もっとオレの服を濡らして。君のミルクで」

自分の着ている服で獄寺くんの敏感な先端を擦り、溢れ出すものを拭い取るように動く。

そうして君に包まれているオレ自身が、完全に覚えてしまった体内のある一点をめがけて突き進む。

ぜんりつせん、と言われるそこに向けて。

震える肉壁をかき分け、到達した場所を硬い熱でくりくりと刺激すると、痛いほど締め付けてくる君の中は、しかし静かに歓喜の声を上げているかようで。他のどこよりも感じる、いわゆる急所だからね、ここは。心身にとって最高の悦びをすぐ君にあげるよ。

だけど泣かせるつもりは全くないのに、そこを突き上げるとびくんと身体が仰け反り、君らしくない甲高い声が上がる。我に返った君はそれに耐えるようにぐっと歯を喰いしばるけど。でも泣いてるなんてわかっていないんだろうね。必ずといっていいほど涙が出てるんだけど。

「ごめんね、泣くほど痛い?もうやめようか?」

口調は優しく、でもオレもこの先に訪れる、あの感覚を求めて止まれないまま腰を振る。

「いえ!気持ちいいです!このまま…!」

「いいの?大丈夫?」

「はい!10代目も俺の中で…!」

獄寺くんの切羽詰った声や表情を独り占めできる、ちょっとした優越感。

こんな姿はオレ以外の人は知らないでほしいし、教えたくない、…見せないでほしい。

そんなのは単なるわがまま。

でもそれを言葉にしてしまうと君はこれから一生この事を守り続けてしまいそうで。

だから黙っておく為にオレからキスをして自分のために声を封じる。

腰を打ち付けながら押し込んだ先から、最奥に向けて勢いよく放たれる熱いものが君の体内を白く染めるまで。

オレが最後の1滴までをその身体に飲み込ませたと同時に、服を通しても判る程の多量の精液をぶちまけて、そのまま獄寺くんは果ててしまった。

 

 

 

 

 

「上から下まで着替えるって、どれだけジュースこぼしちゃったの?」

「あ~、2リットルくらい?」

「底でも抜けたの?獄寺くんのお家の床、掃除してきたでしょうね?」

「し、てない…」

上下一式借り物の服で帰り、自分の服は獄寺くんが責任を感じてクリーニングに出すからって返してくれなかった。そんな作り話を母さんは信じてくれた、と思う。

でもまあ、幼稚園児みたいにパンツにでかでかと名前なんて書きたくないし、これからは下着の打ち合わせが必要かもなんて考える。

 

 

 

「ていうか、オレがこのパンツ捨てればいいんだよね。絶対に間違えなくてすむし」

あれから数日後の屋上での早弁タイム。

「10代目、俺も今日はいてるんですが…」

ちらりと例のお揃いパンツを見せられて、まじで泣きそうになってる獄寺くん。落ち着きなよ、嘘だってば。

「あれから思ったんだけど、別に2人してオレの部屋で脱ぎっこしなくても、獄寺くんがオレのパンツ脱いで(ついでに洗って乾かして)持ってきてくれたら、ささっとひとりでそれ着替えて脱いだの持って帰ってもらっておしまいだったんじゃ…」

「…それ思いついたの何時ですか?」

「昨日寝る前」

「よかった、10代目が早くそれに気が付いていたら俺の部屋に来てくれなかったんですよね?」

「そういうことになるね」

「ほんと、よかったです」

なんで喜んでるかな~。

「もしかして、それ狙ってすり替えた?」

「とんでもない!ただ俺は10代目の下着を着けられたというのが嬉しくて…」

「…変態?」

その一言が痛いところに突き刺さったみたいで、そのまま固まってしまった獄寺くん。

だけど、『10代目の言われたたことは全て覚えています』と前に言っていたのはあながち嘘じゃないらしい。軽く言ったつもりのパンツの件だって、多分イタリアで必死に探したんだろうし。

 

 

「なんか頭痛がする。熱もあるみたい。」

空容器を片付けながらちらりと視線を流す。

「ええっ!大変です、早退しましょう!」

慌てて立ち上がり、オレを抱きかかえようとするのをストップさせてにっこりと笑う。

「うん、帰ろう。一緒に」

「…は?」

「寒気もあるんだ。だから、ホットミルクが飲みたいな、獄寺くんの」

きみの真っ赤になる様子はいつ見ても飽きない。

「これから獄寺くんの家に行って、すぐに飲ませてもらえるかな?」

「ははは、はい!」

 

 

君はさり気なく一生懸命に生きてるよね。

なんでも出来るんじゃなく、そうなるべく努力して、頑張って。

そしてその気持ちの矢印の先は、オレに向いている。

だからずっとそうなっていられるように、オレも頑張るよ。

 

「獄寺くん、大好き」

「俺も、10代目のこと…大好きです、これからも大事にしたいと想っています」

「大事にするから、なんてプロポーズみたいだ」

「したいです、本心は」

「大人になったらね」

さっきから赤くなったり戻ったり、また赤くなったりを繰り返して汗だくになってるね。

「帰ったらまずお風呂かな。ふたりで」

さあ急いで帰ろうか、君が鼻血を吹く前に、ね。

 

 

<>

 

 

     できてる2人シリーズです~。この元ネタは某野球選手のブログから。チームメイトの誕生日に自分の持ってるのと同じ柄のパンツをあげたって書いてました…。君ら、できとるんかい…と、しばし固りましたがな、それ読んで…(20090429

 

 



戻る