ポーカーフェイス
「グンマはいるか?」
その声にはっとして振り返る。久し振りに見る…
「キンちゃん!いつ帰ったの?」
人目もはばからず勢いをつけて抱きつく。
「も〜う、遠征遠征で随分会ってないよ〜。」
「仕方ないだろう。それにしても、発つ前に頼んでおいた、例のものは出来ているか?」
「うん、キンちゃんが設計図を描いていったものでしょ?ちょっと改良を加えて出来てるよ。」
…改良?少し考えてキンタローは抱きついているグンマを離した。
「ちょっと聞くが、元の設計図は残っているのか?」
「うん、この辺りにあるはず…。」
背中を向けて机の上の紙の山をごそごそ探す。その様子を見ながら、キンタローはグンマの部屋の前で待っている部下たちに声をかけた。
「少し大事な話になる。暫く下がってくれ。」
敬礼をし早足に去って行く人影を確認して、部屋の扉を閉める。そして鍵も。
「あった!それより、ねえ、キンちゃん。」
扉が閉まっているのを見て、キンタローの方から口付ける。強く抱きしめ、深いキスをする。
「ん…。」
グンマもキンタローの背中に腕を回し、暫くお互いを求め合った。
「大好き、キンちゃん。」
最初に求めたのはグンマの方だった。意外にもドクター高松との間には何事も無かったと、終わった後で聞かされた。
『やっぱりさ、こーゆーのは好きな人としたいしね。』
眼中に無かったのかと高松を少し気の毒に思ったものだ。
『それに…、高松は、ぼくじゃなくルーザーおじさまを、ぼくを通して見てたような気がした。』
どちらかといえば、本当の父親であるマジックよりも、叔父にあたるルーザーに似ているグンマ。育てられた環境も違うが、性格などは周りの上昇志向を持つ者達とは違い、あの頃から明らかに一人浮いていた。
「ね、寝室に行こ。ここは大事な物が沢山あるから。」
机の上に山と積まれた資料、文書、設計図。機械類も僅かだが所々に見えている。
いくつかの机に目を走らせ、キンタローは先を行くグンマの腕を掴み振り返らせた。
え?と思った顔が驚きに変わる。手を引いて、割とスペースの残っている机まで引っ張って行く。
「な、何?」
キンタローは無言でグンマを机にうつぶせに押し付ける。そのままズボンのベルトを外すと、グンマはあせり、体勢を変えようともがいた。
「や、やめてよキンちゃん。ここは、駄目だってば…。」
「俺は、ここでしたい。」
下着ごとズボンを脱がし、グンマのモノを軽く扱くとビクンと身体が反応した。
「あ…、キンちゃん…。」
空いた片手でグンマのあごを支え、耳の後ろから首筋に軽く舌を這わせる。
「や…、ここは…だめだよぉ…。」
机の上の物が気になり、大きく反応できない。その間もキンタローの手は、グンマのモノに刺激を与え続ける。
「やめてよぉ…、イッちゃう…。」
体格で勝てないキンタローを払い除けられない。
「あ…あ…。」
ぶるぶると震えながら、イクまいと我慢をしている。
「キンちゃん…出ちゃう…。」
辺りを汚すまいと必死だ。
「ねえ、こんなの嫌だってば…、ねえ、キンちゃん…。」
泣き声になりながら、それでも身体は反応を続ける。限界にまで大きくなったグンマのモノは爆発寸前だった。
「いいぞ、出しても。」
「出る…出ちゃう…よ…!」
直前に自分のハンカチでグンマのモノを包み込み、飛び散らないように握り込んだ。
「はあ、はあ、あ…っ。」
大きな息をして、ぐったりしているグンマに優しく声をかける。
「立てるか?歩けなかったら続きもここでするぞ。」
「もう!何考えてんのさ!いいよ、行くよ。」
よろよろと寝室に向かうグンマの横に並び、肩を抱く。
ベッドに倒れ込むと同時に、もう一度強く口付けをしながら服を脱がしてゆく。
「キンちゃん…キンちゃん…。」
「キンちゃんはやめろ、ちゃんと名前を言え。」
「…キンタロー、あのね…。」
「何だ?」
「…来て…。」
「わかった。」
お互い一糸纏わぬ姿になり、キンタローの熱く、硬くなったモノがグンマの中に押し進められる。
「い…、痛い…よぉ…。」
「力を抜け、大丈夫だから。」
「ん…、あ…っ!あ…。」
女の身体と違い、激しく抜き差しすると痛みが酷いらしく、ゆっくりと奥に突くように動く。中を刺激していると、突然大きくグンマが反り返った。
「あ…っ!そこ…が、気持ちイイ…。」
「ここだな?」
そこを中心に攻めると、あきらかに今までとは大きく反応が違っていた。
「あ!あ!あっ!」
グンマの高い声が響く。
「声を、少し控えろ。」
「う…、うん。」
互いの体温を感じながら、強く抱き合う。
「ん…、ん…っ!」
声を抑えている分、身体に力が入る。
「グンマ…。」
耳元で囁く。そしてそのまま耳の穴から耳たぶに舌を這わせ、軽く歯を立てる。
「…っく!」
二人の身体にはさまれたグンマのモノから熱い液体が溢れた。
「は…あ…。」
ぐったりと力が抜け横たわるグンマ。しかし休む間も与えずキンタローは次の行動に出た。
「起こすぞ。」
「え?」
まだ繋がったままの身体を無理に起こされ、グンマが悲鳴を上げる。
「ああ、すまん。」
軽く言ってのけると、あぐらをかいた自分の腰に座らせるように乗せる。
「んんっ…!」
「動くぞ。」
初めは軽く、突き上げるように動くと、自分の体重によってよりいっそう深く入り込んでくるキンタローのモノから逃れようとグンマは無意識に腰を浮かせた。
「あ…あ…!」
繋がった場所から背中に電流が走る。いつも気を失うまで終わらないキンタローの攻め。しかし今日こそ、最後まで意識を保っていようと必死で耐える。
「グンマ、痛いのか?」
「ちが…う…。」
痛みだけではない。
小刻みに突き上げていた動きが、ゆっくりと大きくなる。
「う…動か…ないで…。」
「何故だ?」
「ぼく…が、動く…。」
キンタローを座らせたまま、グンマは自分からぎこちなく腰を動かした。
「ん…、ん…。」
ゆっくりと、キンタローの首に腕を回し、寄りかかりながらしがみつく。
本当は悲鳴を上げたい程の痛みに耐えていた。
「無理するな、俺がする。」
「だい…じょうぶ…、がまん…できるから。」
気を抜くと意識を手離してしまいそうになる。頭の芯が痺れたように感じられる。
「おい?グンマ?」
キンタローの声を遠くに聞きながら、身体の力が抜けてゆく。
「う…。」
駄目だ、気絶する。目の前が暗くなる。歯をくいしばる。
「グンマ?」
緩やかに力の抜けてゆく身体を支え、声をかける。
「やれやれ、今日も最後までもたなかったか。」
ゆっくりグンマの身体を横たえ、涙を拭いてやる。軽くキスをして、己の欲望をグンマの奥深くに流し込んだ。
いつもいつも、遠征帰りには嬉しそうな顔をして抱きついてくるイトコ。
グンマは自分の方が一方的に惚れていると思っているのだろう。だが、
「オマエに何かあれば、俺は、いつでもすぐに飛んで来るから。」
眠るグンマに、小さな声でつぶやく。
「本当は、ずっとこのまま傍に居てやりたいんだがな。」
そっとベッドを降りると、シャワーを浴びて服を着る。
本当に傍に居ると、二度と手放したくなくなると思う。だから、長い時間は一緒にいないように、すぐに離れる。素っ気ない位に。
「また、すぐに会おう。」
静かにドアを閉めた。
<終>
※ コピー誌で出したお話を加筆修正しました。これが初めて出したパプワ本だったんですよ。読み返してみたら余りの下手さに眩暈がしました。でもこれ以上手を入れると別の話になりそうなんでこれくらいで。
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