理由 「知っているよ。」 ミツヤがルーザーの部屋に入っての第一声。 「みんなの居る所では言えないからね。」 チェスをしようと言って2人だけになろうとした訳。 「奴等に仕返しをしたいんだろう?」 全てを悟っているような言い方にルーザーは少なからず嫌悪感を覚えた。 「違うよ、ミツヤ。」 おや?といった風に少し表情を変えた彼に真正面から向き合って言い放つ。 「みんな殺したい。」 しかし、驚くどころか、彼は柔らかな笑みをたたえて言った。 「いいよ。」 と。 「あの時に眼魔砲を使えれば、君もあんな目に遭わずに済んだはずだよ。」 「まさか、お前が…?」 裏であの出来事を操っていたのはミツヤだったのか?と言葉にならない眼差しが彼を射抜く。 そんな彼の考えとは違う言葉が当の本人から発せられた。 「実は僕も誘われたんだよ。乗らなかったけどね。」 一族の者達が数名で屋敷を訪れたのは、ほんの数週間前。 「兄は本部ですよ。」 週末で帰省していたルーザーが応対する。 「知っている、今日はお前に話があって来た。」 「僕に?」 親類といえば聞こえはいいが、前総帥の父親と違って戦術が劣る者や、部下達の手柄は横取りし、失敗は周りに擦り付けてばかりいる一族の厄介者ばかりだなとルーザーはその面々を見回した。 彼等は父の死後すぐに総帥の座を狙ったが、当然のことながら普段の行いを知っている上層部から『ガンマ団に居られるだけでも幸せと思え』とかなり叩かれたらしいと、後日談としてマジックが教えてくれたのだ。 そんな連中が揃いも揃って何の用だと思っていると、そんな玄関先でのやりとりを少し離れた所から双子の弟達が心配そうに見守っていた。ルーザーは下がっていなさいと言ったのだが、あれでも本人達は隠れているつもりらしい。ため息をついて、見て見ぬ振りをした。 「立ち話で済むような簡単な問題ではない。中で話したい。」 「つい先日まで僕たちに『子供は引っ込んでいろ』などと言っていた叔父上の言葉とは思えませんね。」 簡単に通してもらえると思っていた者たちが一瞬ひるむ。 「貴方達に用事があっても僕にはありません。お引取り下さい。」 きっぱりと大人達に向かって言い切るルーザーは、今現在主を失っているこの屋敷を守る最後の砦。負けるわけにはいかなかった。 兄を支え、弟達を護る為に。 冷ややかな上目遣いで淡々と喋るこの少年には強い意志があった。 「…そうだな、通してもらえないのであればお前が出て来なさい。皆で話し合いをしようじゃないか。」 「集まって、悪巧みをするんですか?場所は何処ですか?」 歯に衣着せぬ言い方。 「勘違いしてもらっては困る。これからの我々一族の将来を考えての話し合いだ。」 「それならこのまま僕達には口を出さないで下さい。兄は大丈夫です。」 あくまでお互いの言い分は平行線をたどる。 「では、本部でマジックを交えて、というのはどうかね?」 一人の言葉に他の者が頷いた。 「これなら文句はなかろう?さあ、一緒に行こう。」 「一緒に、と言うわけにはいきませんが、それならいいでしょう。」 ルーザーは屋敷の運転手の車で行くとの申し出を、叔父達は意外に素直に受けた。 「兄にこれから行くとの連絡を入れます。」 「いや、直接行って会えなかったら今日はやめよう。後日改めて出直す。」 多分スケジュール的に急に時間を空けるのは無理だろう。それならまだその方がましかもしれないと思い、弟達に声を掛けてから出ることにした。 不安そうな表情を浮かべているサービスとハーレム。 大事なこの子達に危害を加える奴は許さない。特にあの連中には要注意だ。 「僕が帰るまで外に出ては駄目だ。大丈夫、すぐに戻るからね。」 優しく言うと、2人の頭をくしゃくしゃと撫で、そして早足に屋敷を後にした。 嫌な予感がした。いつもと道が違う。 「本部への道に戻れ。」 後部座席から運転手に声をかけるが返事がない。しまったと思った。 数人居る運転手の中で最も古い、信頼できる者だったのに。 …いつの間に懐柔されていたのだろう。 念のためにと連れてきたボディガードは隣にいる。その彼までもが信じられないことを言った。 「大人しくしていれば殺しません。黙ってこのまま乗っていて下さい。」 「誘拐か?」 「いいえ、私共はルーザー様をお連れするようにとの事でしたので、それに従った迄です。」 あの叔父達はここまで手を回していたのかと思い、次の瞬間、ルーザーは走行中の車のドアを開けて外に飛び出ようとした。 が。 いきなり後ろからハンカチで口と鼻を塞がれた。薬品の匂いがする。 狭い車内。力では敵わない。 急激に遠のく意識の中で、運転手が無線でどこかに連絡を入れている声が聞こえた。 何処だか判らない広い一室で目を覚ました。 寝かされているベッドの装飾品から見て、ここはどこかのホテルの最高級クラスの部屋だろうということは何となく察しが付く。 周りには先ほど別れて本部に向かった筈の叔父たちの姿があった。 この雰囲気はまずいと思うが起き上がれない。 …大人達は無言で動き出した。 まだ自由の利かない手足を押さえつけられ口移しに何かを飲まされる。 何度も流し込まれるそれを抵抗できずに受け入れていると、別の手が衣服に掛かり、乱暴な手付きで下半身が剥き出しにされていった。 「んくっ!」 びくんと大きくはじけるように反応するルーザーのモノには、ぬるぬるしたとろみのある冷たい薬が上下にせわしなく動く手によって塗り込まれる。 声を上げようにも、未だに唇は塞がれたまま。 「…ん!」 両足に力が入り、押さえ込まれていた上半身が弓反りになった。 「おいおい、いきなりはキツイんじゃないか?」 手を組んでじっと見下ろすだけだった男が声を発した。 片手でルーザーのモノを構い続けていた叔父が、指を秘所に埋め込み中をかき回す。でもまだそこは痛いだけ。 「なあ、もうひとつ別のやつ取ってくれ。」 「この薬か?ならこれは俺がやる。」 更に1人が加わり、チューブ入りの薬を中指にたっぷり取って穴の周りから塗り始めた。白い軟膏はすぐに体温で溶け出し、尻を伝って流れ落ちる。 つぷ、と薬を盛った指が差し込まれ、中の粘膜を擦るように直接塗り込みながら奥へ侵入する。 ルーザーは毒には耐性がある。でもこんな薬を使われるとは思ってもみなかった。 ゆっくりと時間をかけて複数の媚薬を染み込まされた身体。 全身をいくつもの手や舌が這い回り始めると、自由になった口から出る嬌声は男達を興奮させ、獣に変える。 胸の小さな突起、脇腹、太腿の内側、そしてまだ未成熟な性器。それらを口に含み舌で転がし、舐め上げる。 また、髪の毛を掴み頭を動かせないようにすると、耳たぶを甘噛みしながら暖かく湿った厚い舌を耳の穴に出入りさせる。 首筋から喉を生き物のように動く唇は、時々止まっては性感帯を探るように舌でチロチロと刺激しながら痕を付けない位の軽さで吸い付いた。 様々な刺激を同時に受け、まだ挿入もされていないというのに既に幾度も痙攣するように達し、僅かに溢れた精液は口で受けた者がルーザーに口付けて無理矢理飲ませる。 「自分の味だ。覚えておけ。」 胃液が上がって吐き気を堪えきれない。 口を押さえようとすると、それぞれの腕を取った別の者が何か棒のように太く熱い物を握らせる。視線をやって息を呑んだ。 「これからお前の中に入るものだ。よく見ておきなさい。」 男の股間にそそり立つそれの大きさに身震いがした。手を振り払いたいが、自分の手の上から包み込むように握らされている為、どうにかしようと指を動かすと結果的にモノを握ったり離したりしてそこに刺激を与えてしまう。 両の手に感じる脈打つ雄の欲望。 「何故…僕にこんな事を…。」 不覚にも声が震えていた。 「お前に教えてあげているんだよ、我々に従わなければどんな目に遭うかを。」 「本来ならあれだけの薬を使われたら、人格が壊れてしまってもおかしくない程の量だったんだが…まだまだ足りていない位だな。」 「マジックに退陣を促せ。そうすれば止めてやろう」 「断る!」 間髪入れずよく通る声が上がる。 「そうか、ではまず、その生意気な口からお仕置きだ。」 大きな身体の中心に見える肉棒。それに手をかけひとりが顔を跨ぐように乗ってきた。 「やめろ!」 叫び声を封じるようにねじ込まれ口腔内を犯される。 「噛むな。舐めて、吸うんだ。」 喉の奥までいっぱいに塞ぐ大きさに何も出来ず、ただ銜えてじっとしているだけのルーザーに次の衝撃が走った。 「…!っ…!」 目を見開き身体を硬直させ、襲い来る激痛になす術も無くただひたすらに耐える。 何者をも迎え入れたことの無い硬い蕾に突き刺さる凶器。 「これ以上入らないぞ。初めてか?」 「へえ、初めてがこんな風では次から普通では物足りないだろう。」 男はまた新たに薬を手に取りルーザーのモノを扱きながら無理矢理にそれを押し込んでいく。 「くっ!んん!」 息が出来ないと訴えるが声にならない。 「自分から、挿れて欲しいと口に出して言いなさい。そうすれば少しは優しく扱ってあげよう。」 そう言った叔父と目が合う。 しかし、そんな事に屈しないと言わんばかりの睨みを返すルーザーの答えを悟った叔父は静かに他の者に言い放った。 「このまま、この状態で続けてほしいそうだ。」 ズズ…と、突き進んで一度止まっていた欲望の塊はいきなり激しく出入りを始め、口を塞ぐモノは容赦なくそこを攻め立てる。 肉のぶつかり合う音とのしかかる者の荒い息遣い。下品な笑い声、そして、涙を流しても決して媚びないルーザーの、声にならない悲鳴。 上下の口からは何人もの精を飲まされる。 時には中で達した後も、ルーザーがまだいっていないと知ると、抜かずにそのままルーザーのモノを手で扱き強引に頂点に導く。 意識を保っていないと、気を失えば更にどんなことをされるのかという恐怖もあった。 快楽など無縁の苦痛に苛まれ続ける。 「中をきれいにしよう。力を抜いて。」 「…ぐ…っ!」 叔父の太くごつい指がルーザーの秘所に潜り込むと、それはゆっくり中を満たす液体をかき出すような動きを始めた。 上半身はベッドにうつ伏せになり、腰だけを高く上げさせられた自分でも想像したくない程の恥ずかしい格好。 「…んっ…!」 とろりと流れ出すものが脚を伝う。 気持ちが悪い。 シーツを千切れんばかりに強く掴み震えながら耐えていると、不意に体内での指の動きが変わり内壁を擦りながら引き抜かれた。 「もう中は空だ。これでまた新しく入れても大丈夫だな。」 言葉の意味を理解すると同時に、再び熱い楔に貫かれた。 「やめ…!」 「またいっぱいになればこうしてかき出す。何回でも楽しめるぞ。」 後ろから覆いかぶさるように押さえ込まれ、激しく揺さぶられる。 どのくらいの時間こんなことをしているのかもう判らない。 叔父達によって刺激され続けた身体は、今やほんの僅かな責めにも耐えられない。内壁を擦り、急所を突き上げるとあっという間に絶頂を迎えてしまう。 覚えたてのその感覚は、自分の意思ではどうすることも出来ずに一方的に与えられた刺激に対して反応を返すという、いわゆる条件反射のようなものだった。 ビクビクと痙攣する体内で弾ける熱い白濁した液体を最奥にまで流し込まれる。 休む間も与えられず挿入され続け、あれから常にルーザーの中には誰かが己を埋め込んでいる状態だった。 「若い身体は元気で感度がいいな。初めてでここまでいくなら、もう少し育ったら私好みになっているだろう。」 「独り占めは許さんぞ。今度もまたこのメンバーだ。」 信じられない言葉。 「次は、俺がいく。」 乱暴に仰向けにされ脚を大きく開かされる。 「ぐ…っ!」 一気に突き刺すと、その凶器は細かく焦らすような動きに変わる。そうすると無意識に身体は次の刺激を欲して腰を振る。 何も考えられない、本能の動き。 本気になればここにいる奴ら位、倒して逃げ出せたはずだった。 だが、ここで拒むと次の標的はまだ幼い弟達だという。 「サービスはいい、将来が楽しみだ。」 「ハーレムもあれでなかなかのものだ。飼い慣らして躾けたいな。」 すぐに飽きると思っていた。 しかし頑なに堕ちないルーザーに、大人達はあの手この手で責めを仕掛ける。辱めを受け続けても、彼の瞳の輝きは衰えない。そんな様子を叔父達は笑って見下ろしていた。 最後まで、壊れてなるものかと歯を喰いしばり時が過ぎるのを待った。 ようやく解放された後に知った。 莫大な報酬を受け取るはずだったあの運転手とボディガードは、自分が蹂躙されていた時にはもうこの世にはいなかったと。都合よく叔父達に利用されて殺され、名目上裏切り者はその2人にされて、叔父の手によってルーザーは助け出された事になっていた。 外見的には少しの痣と内出血が見られるだけで、目立つ大怪我は無い。それだけでマジックは安心しているようだった。 だが心の深いところに付けられた傷の痛みと、本当は何をされたかをルーザーは決して誰にも言わずに隠し通すつもりだった。 このミツヤに知られるまでは。 奴らは絶対に許さない。 「彼らは手段を選ばないからね。まあ、殺されなかっただけでもよしとしないと。」 この男は自分など目に入らない。それはそれでこちらにとって都合がいい。自分に興味を示さず、なおかつ目的は一緒。 「僕たちはマジックを護り、助けていく。彼は覇王だからね。その彼の邪魔になる者は排除しないといけない。君のその力で人を殺すのは怖いかい?」 「兄さんの為なら怖くない。」 大好きで尊敬しているマジック兄さんの為に。 そして何より自分の手で行いたい。 一刻も早い屑共の一掃を。 それに必要な秘石眼のコントロールと眼魔砲の撃ち方、それを使った人の殺し方。これらをミツヤは全て教えてくれるという。 「君は、マジックの為に殺人兵器になれるかい?」 自分の返事はたった一言。 「なれる。」 その日から訓練は秘密裏に行われた。 そして。 「今夜、行くよ。」 という合図をもらうとその言葉を口に出す。 それは。 「兄さん、ミツヤをお借りします。チェスをしたいので。」 終 ※ 最近気が付いたんですが、これでも私、ルーザー好きかも…。 あ、このお話は彼の初めての時のものです。ようやく形になりました。 何だかルー様Fanの方にはごめんなさい…みたいな。 そしてミツヤとは何もないです、一応、多分、まだ。←歯切れ悪いな(汗) |