そんな景色のひとつ 「お返しを考えなくちゃ」 「何のですか?」 「ちょっと早いけどホワイトデーの。忘れちゃいけないからね」 15日の日曜日、ハルと京子ちゃんに貰った手作りチョコが全部食べられそうにないという 獄寺くんからの電話を受け、朝からいそいそとお邪魔する。 可愛くラッピングされたままのそれは、量的にはさほどなく、 本当に甘さも控えめに作ってあるので何でこれ位食べられないかなあと思うんだけど…。 なのでチョコたちはあっというまにオレのお腹に収まって。 「美味しかった、ごちそうさま」 「10代目、すいませんでした」 獄寺くんは別に食が細いわけじゃない。むしろオレよりよく食べる。ただ、好き嫌いも多い。 オレの家では母さんの作ったご飯を残さず食べるけど、 外では決して口にしないものがあるって事も知っている。 「で?」 「は?」 「これだけじゃないでしょ?オレに食べてほしいものって。 本来ならお願いするほうが家に持ってくるべきなんだから。 オレをわざわざ呼び出すって事は、やっぱ、そっちを考えてもいいんだよね?」 にっこり。 バレンタインの前日、あれだけじゃ足りなかった?言葉に出さなくても 獄寺くんにはその言わんとする事が理解出来たようで。 「ええと、…はい、そうです…」 こちらもなんとも素直な返事。 「いいよ〜、やろう」 早速ぎゅうっと抱きついて軽くキス。 「…10代目、チョコの味が…」 「あんまり甘くなかったでしょ?あ、でも獄寺くん煙草我慢しててくれた?」 いつもいきなりのキスのときに香る煙草の感じがしない。 「今日はそのつもりで…だから…」 「もう!なんでそんなに気が利くの!大好き!」 準備万端整った明るい日差しの中で、大好きな獄寺くんの瞳を覗き、 でもここでもう一度キスさせてと優しく囁いた。 荒い呼吸と滴り落ちる汗。いつにも増して、積極的に感じようとしている獄寺くん。 オレの上に跨って、自ら腰を揺らして中の敏感なトコロを教えるように導いて。 「気持ちよさそう…いいトコに当たってる?」 「は…い…すごく…」 「ふうん、こことか?」 下から軽く中を突けば、自分では控えめに当てていたそこにダイレクトにヒットしたようで、 おそらく無意識だろうけど腰を浮かして逃げようとする。 「あ…10代目…そこ…っ!」 「うん、ここだね、いっぱい突いてあげる」 「や…!」 腰を掴んで揺すりながら突き上げる。君は感じてくると入り口から内壁全体が震えて オレのモノをつよく締め付けるよね。 今まさにそんな状態。 そしてこの体勢では、ふたりが繋がっているところや、 獄寺くんの目一杯勃ち上がったモノが大きく揺れて涎を垂らしている様子も丸見えだ。 視覚だけでも気持ちよくなってくるよ。だから。 「…なか…また大きくなって…る…!」 少し苦しそうになったのはそれでも一瞬。 すぐに惚けたような恍惚とした表情に変わる。 この角度で見上げる獄寺くんは、いつもと違って新鮮で。 「10代目…あの…」 「いいよ、気持ちいいんでしょ?オレもすぐにいくから」 ギリギリ限界まで耐えていたんだろう、 短い声を発して自身を手で覆うようにして達してしまった。 飛び散る精液がオレにかからないように、全てを自分で受けて。 「それ、ちょうだい」 「…?」 「獄寺くんだから、それも」 手のひらにこびりつく白い液体をぺろっと舐めると君は慌てて手を引っ込める。 「10代目、そんな…!」 「全部欲しいよ。獄寺くんの全てが」 余裕の笑みを浮かべ、 「オレはあげるよ。中に、全部」 「…あ…ひっ…!」 再び下から獄寺くんを攻め、仰け反る身体の中で自身を弾けさせた。 端整で気高く、鋭い側面を持つ限りなく澄んだクリスタルのような君。 そんな君のオレにしか見せないその顔を、ずっとこのまま見ていたい。 いつまでも。 「足りた?」 「…今日は…」 「も〜、獄寺くんって、どれだけオレのこと好きなんだよ〜」 「…限りなく好きです」 真顔で言われて流石に引いた。 まだ裸のままで抱き合ってベッドの中。獄寺くんの汗の匂いが鼻をくすぐる。 普段運動していてもそんなに思わないのに、こんな時の獄寺くんは 背中に回した手が滑るほど汗をかいている。不思議だな。 「起きる?」 「いえ、もう少し…このままで」 もぞもぞとシーツに潜り込み、獄寺くんが上になってオレを強く包むように抱く。 「10代目、好きです」 「…うん」 目を閉じると、珍しく獄寺くんから口付けてきた。 あ、なんかオレの方が襲われてるみたい。 そう思って大人しく受けていると、その手が何だか不穏な動き方をする。 ちょっと待て。 もう終わりじゃなかった? 「すいません、10代目…」 申し訳なさそうに言いながら獄寺くんは身体を下にずらし、オレのモノを口に含む。 「ね、少し休もうよ…」 ふるふると頭が左右に振られ、一度口を離し、 「やっぱ、も一回…したいです…」 だって。 いいけどね。 獄寺くんの奉仕でまた元気になってしまったオレを受け入れやすいように、 うつ伏せになろうとした君の身体をひっくり返してこちらを向かせる。 今しか見ることの出来ない蕩けそうな表情。両手で頬を包むようにしてキスをして。 「好き」 その一言で待ちかねていたかのようにひくつく小さな口に、 すっかり硬くなった自身を押し当てる。 貫く衝撃はきつそうで、君の握る拳に力が込められている。 それに気が付いて指を解き解し、その掌にオレの手を重ね合わせてあげる。 …そこにも汗を浮かせていたなんて知らなかったよ。 「大丈夫?」 きついのは初めだけなんだよね? 慎重に傷付けないようにしながら獄寺くんに納まると、小さく息を吐いた君の唇が すみませんと動いて見えた。 「なんで?」 「…なんか、イライラしてました。…10代目が、あの…チョコ貰って嬉しそうだったので…」 「やきもち!?もしかして!」 「ちが…!」 おそらく図星。そして本人も意識してなかったんだろう。 「ばっかだなあ!オレが好きなのは獄寺くんだって言ってるだろ?信じてよ!」 「信じてます!けど!」 ハルや京子ちゃんと一緒に居るとき、決して割り込んだり邪魔はしない獄寺くん。 むしろ離れていたりする。それは不機嫌な顔をしてるのを悟られないためだろうなと、 うすうす感じてはいたけれど。 それにしても、君って可愛すぎる…! 「ごめん、もう今日は離さない」 「え…?」 あの時やめておけばよかったって思っても、もう遅いからね。 「10代目…ちょっ…!」 君はいきなり中心を駆け抜ける快感に身を震わせて。 「ここを、こう…」 「…〜っ!」 最奥の、最高に感じるトコロまで埋めたモノで、君の中を掻き混ぜる。 ここを擦ると出ちゃうものが、完全に枯れて出なくなっちゃうまで止めないよ。 そんな恐ろしいことを言い放ち、君に包まれたオレ自身が質量を増すのを中で感じ。 もう遠慮はナシでいかせてもらうよと律動を再開させた。 「お返しは何がいいか、終わるまでに考えておいてね」 と、少しの意地悪も忘れずに。 <終> ※ 『なかよく〜』の続きです。『プレゼント』とはまた一味違って「その時」ではなく「後日」という設定で。この既に一線越えちゃってる2人シリーズは、そのうち別枠にまとめようと思っています…(20090215) |