たくさんのさまざまなそれぞれの 幾度となく重ねた、2人だけの時間。そしてその殆どがグンマの部屋で… 「だからあ、キンちゃんだからだよ。」 グンマが高い声で言う。 「キンちゃんにしてもらうのは気持ちいいから好きだけど、でもそれって本来はキンちゃんが好きだからって事で。」 「なんかよく判らんが、ともかく今は黙ってろ。」 立ったまま、抱き合ってのキス。身長差があるので本当はベッドでしたいとキンタローは思っていたが、グンマに言わせると 「重いんだもん、この方がいい。」 との事だった。 「ん…。」 グンマの首筋にキンタローの指がそっと触れる。こらえきれずに思わず声が出る。その唇を追いかけ再び舌を差し込む。お互いを絡め合い、求める。 「は…っ。」 息ができなくなるまで放してくれないと、よくグンマは怒る。だが、拒否された事は一度もなかった。強く抱き締める。 「ちょっと、苦しいよ。」 かすれた、小さな声。たまらなくなり、抱き上げてベッドまで運んだ。慣れた手つきで素早くグンマのネクタイを緩め、シャツのボタンを外してゆく。 「や…、キンちゃんも脱いでよ…。」 「ああ、気が付かなかったな。」 時間の無い時にはグンマが自分で脱ぐのを待つよりは、手を貸す方が早い。そして気が急ぐあまり、自分は服を着たまま始めている事もたまにあった。 「せっかちなんだから、キンちゃんは。」 「オマエはもう少し物事を早く進めろ。家事と同じだ、段取りを考えて動け。」 「ああ、なんかシンちゃんと話してるみたい。」 力の抜けそうな会話。気を取り直して服を脱ぐ。近くにあった椅子を引き寄せ、その上に自分の脱いだものを無造作に放り投げた。グンマの服もその上に重ねる。 「几帳面だよね、下に落としたままにしないもん。」 「すぐに着るし、汚してもいけないからな。」 「…うん。でも今日はいつもより時間あるから、だから…。」 もう一度、軽くキスをした。 「…ふ…。」 いつものように痕を付けないように慎重に、グンマの身体の隅々まで愛おしく愛撫する。 「ん…ん…!」 グンマのモノを口に含むと、声を殺していた身体にぐっと力が入る。仰向けでシーツを掴む手に力が込められている。 「キンちゃん…、気持ちいい…よお…。」 恥ずかしさで真っ赤になりながら、それでも感じている。口の中で転がすように舐め、舌の先で刺激する。そのまま喉の奥でくっ、と吸うとグンマの身体が大きく反り返った。 「ア…!」 耐え切れず、キンタローの口の中に放つ。残さずそれを飲み込み、さらに続けようとするキンタローにグンマはあせって起き上がろうとした。 「も、もういいよ、今度はぼくがするから。」 「まだだ。」 「ねえ…、ほんとに、…もう…また…。」 だんだん声が小さくなる。 グンマの脚を自分の肩にのせ、腰を浮かせるようにしてからもう一度銜え込んだ。 再び口の中で大きくなってくる。 「あ…。」 気持ち良さを求めて自然に腰が動いている。固く目を閉じているグンマは気が付いていないようだが。 そして、二度目を迎える。 グンマが落ち着くのを待って、自分の上着のポケットから小さな容器を取り出して中身を指に取る。 「少しはオマエが楽になるかと思ってな。ちょっと脚を開け。」 「ひゃっ!何…これ?」 塗り込まれる気持ち悪さに思わず声を上げる。 「いつも辛そうな顔をしているからな。これはただの保湿クリームだ。」 グンマが耳まで赤くなる。 「だ、大丈夫だって!」 そして一呼吸。 「でも、ありがと。気にしてくれてたんだ。」 手を伸ばし、キンタローの身体を引き寄せぐっと抱き締める。キンタローもゆっくりと体重をかけて重なり、どちらからともなくキスをする。 そして。 「くっ…ん…。」 グンマは中に押し入って来るものに対して身構える。苦しいのはこの時だけなのだ。ほんの少しの痛みと引き換えに、後は快感を送り込んでくれる。 「も…もう少し…ゆっくり…して。」 先程の薬のおかげか、いつもよりはスムーズにできる気はするが、それでもやはり本来男のモノを受け入れるようにはできていない場所に無理はくる。 「う…。」 泣きそうな顔で耐えている。しかしもう止まらない。 「あと少しだ。」 いったん奥深くまで入り込み、2人がひとつになったまま暫くじっとしている。 グンマの中が気持ち良い。ゆっくり中を探るように動くと、それに合わせてグンマも腰を動かす。 「…う、ん。」 目を閉じ、痛みに耐える姿にたまらなくなって、グンマに覆いかぶさるように抱き締めると奥に細かく突き上げる。 好きという感情だけで、こんな行為を求めるのはどうかと思う。だが、意外にもグンマは同意してくれた。男同士で、イトコというタブーも気にせず。思い起こせば、初めに誘ってきたのはグンマの方だったような…。 考えがまとまらない。ただ、判るのは、自分はこのグンマが好きで、一緒に居たくて、そして大事にしたいと思う反面めちゃくちゃにしたくなる時もあった。自分だけのものにしたい。このまま、ずっと。 「?」 いつもと違う様子にグンマが気付いた。動きが激しさを増す。 「い…痛い!よ…!」 たまらなくなって声を上げる。力の入らない腕で自分にのしかかる大きな身体を押しのけようともがく。 「キンちゃん…?」 だめだ、湧き上がる気持ちを抑えられない。これでも控えめにしているつもりだったのだが。グンマの様子に気が付かないふりをして、さらに動きを早める。 「やだ、キンちゃん!嫌だ!痛いって!」 先程までと違う。あれほど壊れ物を扱うように優しかったはずのキンタローが今は怖い。 「いっ!」 奥を攻めるだけでなく、身体を起こし、以前グンマに痛みが酷いのでやめてと止められた激しい抜き差しをする。 「嫌だ!こんなの、嫌だ!」 大声を出し、この体勢から逃れようともがき、暴れるグンマ。 初めて、キンタローがグンマの口を手で塞ぐ。信じられないという顔をしたグンマから視線を逸らす。 「…!…!」 くぐもった叫び声が響く。己の快感を優先させてしまう。 ベッドのスプリングが軋む音だけがしていた。 ふと、我に返って動きを止めると、声を出せずにしゃくり上げて泣くグンマと目が合った。 そっと手を離す。 「…ひっ…く…。」 ポロポロと涙がこぼれている。 「あ…グンマ…。」 これ以上続けるなと言われるかと思った。嫌われたかもしれないと焦る。 しかし。 「やだよう…、おいていかないで…。」 弱々しくただ涙を流すばかり。謝るしかない。 「すまん…。」 「うん、一緒に…一緒だよ?」 グンマの声に否定はない。気持ちを落ち着かせると、今度はグンマの急所を中心に攻める。 「さっき…、キンちゃんじゃ…ないみたいだった。」 違う、あれが自分の本性だった。グンマに何をしようとしていたのだ。 「ちょっと、怖かった。」 しがみついてくる力よりさらに強く抱き締める。どこまでが自分か判らなくなる位に。 「あ!」 ぶるっと大きく震え、先に達したのはグンマだった。自分の背中に回された手にぐっと力が込められ、静かに抜けてゆく。その刺激を受け、キンタローもグンマの中に放つ。気持ちが良すぎて死にそうと時々グンマが言うが、まさに今がそんな感じだと思った。暫く動かずグンマの浅く早い呼吸を聞く。 そっと身体を起こすと、グンマのモノから放たれた液体が2人の腹を濡らしていた。 「ごめん、…先にいっちゃった。」 申し訳なさそうに見上げるグンマ。汗で額に張り付いた前髪をかき上げてやる。形の良い額。 そこに口付け、もう一度のしかかる。 「まだ、いけるな?」 「ん。」 駄目だといわれてもするつもりだったが。しかしそんな思いとは裏腹に、 「もうちょっとだけ時間があるから、できるだけ、しよう。」 と、グンマの方から笑って抱きついてきた。 「大好きだよ、キンちゃん。」 沢山のコンピューターやモニターが並ぶ通信室。 「シンちゃんが見つからないのは心配だけど、久し振りにキンちゃんと長く居られるのは嬉しいな。」 暢気にモニターを覗き込むグンマに思わずため息が出る。パプワ島にある筈の発信機が作動していないのを不安に思いつつ、それでも探さない訳にはいかない。 ただ、一度遠征に出てしまえば何週間も会えない事もあるのだから、たまにはこんな時があってもいいかと思う事にした。なるようにしかならない。 「なんとか次の手を考えんといかんな。」 「大丈夫、シンちゃんは見つかるよ。」 「…は…。」 さりげない一言。肩の力が抜ける。悪い、もう少し待っていてくれと心の中でシンタローに詫びて、椅子から立ち上がった。 「え、どこ行くの?」 「何を言っている、一緒に来るんだ。今日は、俺の部屋だ。」 「ちょっと待って!もしかして今から?」 「嫌か?」 「う〜ん、ま、いいか。」 後ろからグンマが抱きついてきた。
<終> |